分とく山のカウンター席


気のおけない友人と食事する場合はカウンター席にかぎります。今回は友人がまだ訪れたことがないというので、南麻布の分とく山のカウンター席を予約しました。分とく山には1階と2階にそれぞれカウンター席が9席あります。厨房はカウンター席左手の奥にあるのでオープンキッチンというわけではありませんが、盛り付けの様子をまじかで眺めることができます。


分とく山のコースは1種類のみ。先付けからデザートまで品数は豊富で総料理長野崎さんの世界観を心ゆくまで堪能することができます。毎回楽しみにしているのは開店以来のスペシャリテ「鮑の磯焼」、写真では海苔しか見えませんが、海苔の下には柔らかく蒸し上げたアワビが肝のソースと共に鎮座しています。磯の香りをそのまま運んできたような逸品です。


和食のもうひとつの楽しみは器。「鮑の磯焼」を盛りつけたお皿はモダンでスリップウェアのようにも見えます。お皿に割竹をのせたお凌ぎを肴にお酒を頂くと美味しさが際立ちます。器も愛でながらゆっくりとお食事を頂くのが作法というものです。

〆は定番炊き込みご飯。野崎総料理長はご飯料理の本まで刊行されているくらいですから、季節に応じて炊き込みご飯の中身は様々です。その夜はお代わりを重ね三膳も頂いてしまいました、というのもにおこげが一番美味しいからなのです。