バスタ新宿を起点にした夜行バスを利用した山行の薦め

バスタ新宿が開業したのは2016年4月4日。新宿周辺19ヶ所に点在していたバス乗り場の集約効果は絶大で、開業以来平均1日1500便の高速バスが発着し、約3万人が乗降しているのだそうです。夜行バスのメリットを感じながら、バスタ開業以降、コロナ禍も挟んでなかなか利用する機会がありませんでした。その間に、バスタ東京八重洲が一部開業しています。国土交通省主導の「バスタプロジェクト」は、中・直距離バスターミナルを備える地方都市へと拡大する流れにあります。

1月末の東北遠征登山において、初めてバスタ新宿から夜行バスに乗車しました。実際に体験して感じたメリットについて整理しておこうと思います。

我が家の最寄駅から新宿まで中央線で20分足らず。中央線先頭車両に乗り込み新宿駅新南口改札を出て、左手エスカレーターで4階に上れば、そこが待合室です。集合時間は23:50、出発時刻は金曜日の0:05です。私鉄利用者の場合、新宿駅からバスタ新宿までの移動が少々煩わしいようですが、中央線沿線住民にはバスタ新宿のロケーション自体が見逃せないメリットなのです。

めざすは山形県蔵王温泉。23:30に待合室に着いたときには乗降客でごった返していました。待合室は満席で、乗車まで立ちっぱなしでした。近くにいた若い女性グループは姿格好からして明らかに東京ディズニーリゾート帰り。

夜行バス利用の最大メリットは、ソロ山行のマイカー利用に比べ、運転に伴う疲労から解放されること。次なるコストメリットも半端ありません。JR東京駅-JR山形駅間を片道新幹線利用すれば11450円ですが、夜行バスなら6000円(週末は少し高め)と半額です。移動時間は7時間15分(新幹線なら2時間44分)ですが、夜行バス車内で熟睡できれば、移動時間はまったく問題になりません。花王の「蒸気でアイマスク」、耳栓、睡眠導入剤を携行すれば、安眠の妨げは一気に解消できてしまいます。今回利用した前方3列独立シートは、隣の乗客と通路で隔離されているので、お隣さんの寝返りなども気になりません。トイレ完備で室温調整もばっちり、車内は快適そのもの。出発すればすぐに消灯です。

目が覚めたら雪景色の山形駅西口でした。新幹線を利用すると、JR山形駅からさらに最終目的地の蔵王温泉まで路線バス乗車しなくてはなりません。夜行バスなら、写真(上)のように最終目的地まで直行してくれます。ハイシーズンの夜行バスの人気は高いので、早めの予約を心掛けること。座席はバス会社があらかじめ指定します。デメリットは殆ど見当たりません。北アルプスの登山拠点・上高地をはじめ、首都圏から片道数時間以上の移動を伴う交通アクセスの悪い登山口へのアクセスには、夜行バス利用を最優先で検討したいと思います。