高まる韓国語学習熱~外国語習得の意義について考える~

日経新聞夕刊(10月21日付け)が一面で韓国語学習ブームについて報じています。2021年韓国語能力試験「TOPIK」の受験者数は過去最多の40957人だったそうです。内、9割が女性で20代が53%を占めています。女性ファンの多いK-POPコンテンツが韓国語学習ブームの火付け役だと言われています。特にBTS人気は凄まじく、世界的な韓国語学習ブームを巻き起こしているようです。BTSメンバーの話す言葉を理解したいという逸る気持ちが韓国語学習へと駆り立てているのでしょう。自分の身の周りにも韓国語の勉強を始めたという友人・知人が増えています。動機はどうあれ、韓国語に限らず英語以外の外国語習得にチャレンジするのは大変有意義なことです。

大学時代、第2外国語はドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語の4つからの選択でした。最近は、選択肢に韓国語を加えている大学が増えているそうです。逆に、ロシア・ウクライナ戦争の影響も手伝って、学生紛争の頃のロシア語熱はすっかり冷めきっているような気がします。所謂外国語検定の直近受験者数を比較してみると、英語の圧倒的な受験数を度外視すれば、韓国語人気の突出ぶりは群を抜いています。データが拾えなかったので記載しませんでしたが、スペイン語やロシア語の受験者数も1万人を下回っているのは間違いないでしょう。

1位 英検(410万人・2021年)2位 韓国語能力試験(4.1万人・2021年)3位 中国語検定(3.9万人・2021年)4位 仏検(1.8万人・2022年)5位 独検(0.7万人・2022人)

外国語を学べば、その国の文化や習慣をより深く理解できるようになると言われます。これだけだと月並みな説明で肝心な本質が見えてきません。実践的な英会話能力の習得に重きを置くBerlitzは、英語を学ぶ意義を次のように整理しています。英語以外の外国語にもそのまま当て嵌まることだと思います。

ㇾ 自分が本当に表現したいことに向き合うことで自己を理解していき、自分に合った上達の術と、言語に縛られずに自己を表現する自由と自信を得ること
ㇾ 元々いた文化圏の中と、身につけた外国語の文化圏の中の両方で「できること」が増える

つまるところ、外国語習得は自己を表現する新たなスキルを獲得することです。幕末、鎖国を解いた瞬間から外国文化が怒涛の如く国内に流入してきました。日本になかった文化や習慣に戸惑いながら、交易が活発化していきます。相互理解を深めるためには、言語を媒介として、通じ合うしかありません。長きに及んだ鎖国が日本独自の文化を熟成させた一方で、日本は近代化を急ぐあまり、今日に至るまで、言語を通じたコミュニケーションをなおざりにしてきたように思います。日本人の外国語に対する苦手意識は一向に改善していません。韓流でもいい、ワインでもいい、何かひとつ外国の文化を極めようとするなら、その国の言語を一所懸命学ぶのが近道です。その過程でさまざまな学びがあるはずです。外国語習得に年齢制限はありません。英語ともうひとつ他の外国語を話せるようになったら、一気に世界との距離が縮まるに違いありません。