ウオーターズ竹芝・劇団四季専用劇場「春」|ミュージカル『アナと雪の女王』

劇団四季のミュージカル『アナと雪の女王』を観に、浜松町の劇団四季専用劇場を訪れました。劇団四季のミュージカルを観るのは実に十数年ぶり、戦争三部作のひとつ『李香蘭』以来です。チケットは次男からのプレゼントでした。幼少期に『ライオンキング』をはじめ劇団四季の代表的なミュージカルに連れて行ったことがきっかけとなって、成人してからもディズニーアニメやミュージカルの虜になっているようです。

創成期における劇団四季の代表作と言えば、『キャッツ』に『オペラ座の怪人』。このふたつの演目だけは、華麗なパフォーマンスとアンドリュー・ロイド・ウェーバーの楽曲に魅せられて、ブロードウェイやロンドンの劇場でも観劇しています。いつしか、劇団四季のレパートリーに次々とディズニーアニメのミュージカルが加わり、(大人向けではないため)足が遠のいていました。最近では、劇団四季の作品ではありませんが、2018年に日生劇場で上演された『シラノ・ド・ベルジュラック』(吉田鋼太郎主演)も好みです。

アナと雪の女王』開演は12:30。早めに現地に赴き、隣接している「浜離宮恩賜庭園」(特別名勝特別史跡)を散策しました。大手門ではなく、四季劇場に近い中の御門を利用すると便利です。訪れる度に思うのですが、「浜離宮恩賜庭園」は9つある都立文化財庭園のなかで別格の存在です。明治維新以降は皇室の離宮となりますが、徳川将軍家が残したトップクラスの大名庭園ではないでしょうか。お昼前だというのに、汐入の池の中心「中島の御茶屋」には大勢の外国人が行列を作っていました。築地川に面する一帯はコスモスが満開でした。お天気さえ良ければ、四季劇場を訪れる前のひとときは此処で過ごしたいものです。

開場時間が近づいてきたので、劇団四季専用劇場が入居している「ウォーターズ竹芝」に移動しました。駐車場の入口は進行方向を大きく左へ迂回したところにあります。コロナ禍の最中に開業した「ウォーターズ竹芝」はJR東日本が開発した複合施設です。知名度こそまだ低めですが、ウォーターフロントという立地を活かした魅力溢れる施設です。シアター棟とタワー棟の間にゆとりあるスペースを割いた空間構成が巧みで、遠くに東京スカイツリーを望む湾岸眺望(写真・下)は申し分ありません。ナイトビューも期待できそうです。

開演前、氷と雪の世界を描いたアニメーション『アナ雪』の舞台化は、演出面でハードルが高いのではと思っていました。ところが、幕が上がるとそんな先入見はものの見事に打ち砕かれました。エルサが放つ氷の魔法にはじまり舞台装置の隅々に至るまで、プロジェクションマッピングやLEDパネルなど最新映像技術を駆使して、氷と雪の世界をさながらに再現しています。オペラグラスでアナとクリストフが縄梯子を渡るシーンを観察しましたが、細部にまで完璧なリアリティを追求しています。1幕目ラストの谷原志音エリサの「ありのままで」の熱唱から一転、2幕冒頭はアニメに登場しないコメディタッチの「ヒュッゲ」の場面。サウナ小屋から数珠繋がりで半裸の男女が現れ、衝撃のロケットダンスが繰り広げられます。お笑いタレント・アキラ100%さながらです。

息もつかせぬ怒涛の2時間でした。ミュージカル『アナと雪の女王』は、アニメであらすじを熟知しているファンは言うまでもなく、子供も大人も楽しめる一流エンタテインメントに仕上がっています。次男の計らいで2階席最前列からの鑑賞でした。この舞台にかぎってはダイナミックな舞台構成を愉しむためにも、2階席に陣取って俯瞰するのがベストだと思います。