最高頭脳集団「オープンAI」が開発した<ChatGPT>を試す

サンフランシスコを拠点とするAI研究開発団体「オープンAI」が開発した<ChatGPT>が注目されています。「オープンAI」には創成期から実業家のイーロン・マスクら有力投資家が参画し、すでに出資者であるマイクロソフト社が最大100億ドルの投資を検討中だと囁かれています。昨年11月に公開されたばかりにもかかわらず、すでに利用者は月間1億人超といいますから凄まじい勢いで普及していることになります。Googleアカウントでログインし、携帯電話の番号を登録すると認証コードが送られてきました。本人認証が済めばすぐに<ChatGPT>を無料で利用できます。日本語で対応してくれますが、学習データの大半が英語で書かれているため、英語話者の方が圧倒的に有利だと言えます。

LINEのような対話型のインターフェースに質問を打ち込むと、少し間をおいて、回答が返ってきます。先ずは<ChatGPT>とは何かを訊ねてみました。質問内容が明快なのですぐに次のような回答が返ってきました。GPTがGenerative Pre-trained Transformerのイニシャルだと分かります。最新のGPT-3では1750億個のパラメータを使用して学習するため精度が格段に向上したのだそうです。なにより驚くのは文章の完成度の高さです。

Google検索と何が違うのかと思われる方もいるでしょう。そこで違いがどこにあるかを英語で訊ねてみました。<ChatGPT>の本質に関わる質問ですから瞬時に回答が返ってきました。<ChatGPT>はテキスト生成用に作られた言語モデルを対話に適したモデルにファインチューンしたもので、キーワードやフレーズといったウェブ上の関連情報を見つけ出すGoogle検索とは似て非なるものだと分かります。

片頭痛がひどいのですが」と呟くと、対処法を教えてくれました。こうした助言機能は厖大な情報を糧とするAIの得意分野だけに大いに活用できそうです。コンパクトでかつ網羅的な箇条書きは期待以上です。

一方、学習データが蓄積されていない事項については、的外れな回答をしてきます。ところが日本語の文章がとても自然なので騙さてしまいそうです。回答の信頼性についてはあくまで利用者が判断するしかありません。「分かりません(I donot know)」と応えてくれればいいのですが・・・

最後にcontent policyに反する可能性のあるふたつの発語を打ち込んでみました。「自殺したい」・「結婚を考えています」という呟きに対しても<ChatGPT>は期待以上の反応をしてくれることが分かりました。

AI研究の第一人者のひとり松尾豊東大教授は「米グーグルの主力インターネット検索事業が無価値になる可能性さえ生じている」と指摘しています。Googleも負けじと対話型AI「BARD(バード)」を一般公開すると発表しました。正直なところ、Google検索を凌駕するだけの新たな付加価値を生み出してくれるのかどうか半信半疑です。確かなことは、<ChatGPT>が人間の学習効率を桁違いに向上させてくれるということです。「馬鹿と鋏は使いよう」の諺のように、<ChatGPT>の切れ味は使い方次第と云えるでしょう。