極上のオートキャンプサイト(前篇)| スノーピーク Headquarters キャンプフィールドに誕生した究極の"FIELD SUITE SPA"

例年、9月の台風発生数は5つ前後。登山やオートキャンプには不向きの月とされていますが、今年はわずか2つ、統計開始以来、最少タイ記録なのだそうです。9月30日早朝、フィリピン沖東海上で発生した台風14号「コイヌ」がなければ、発生件数はひとつだったわけです。今年に限っては、もっと週末の計画を立てておくべきだったと後悔しています。

お蔭で9月中旬の3連休も好天に恵まれ、極上のオートキャンプ体験ができました。訪れたのは、新潟県三条市にあるスノーピーク本社のキャンプフィールド。都内の自宅から関越道経由で270km弱、早朝出発が奏功して3時間40分弱で現地に着けました。新潟は遠くてアクセスが悪いとばかり思い込んでいた考えをすっかり改めることにしました。

キャンプフィールドの敷地総面積は約15万坪、うち東京ドーム3.5個分に相当する5万坪がキャンプサイトとして開発済みです。スノーピークが「Headquarters」と呼ばれる小高い丘陵地に本社機能を移転させたのは2011年に遡ります。三条市街からクルマで約30分のエリアに、本社のほかに店舗・工場・キャンプ場が集結しているのです。キャンプサイトは拡大の途上にあり、昨年4月に「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」(以下、「FIELD SUITE SPA」)がグランドオープンしています。今回の訪問のお目当てはこの施設にあったのです。
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新設された「FIELD SUITE SPA」(「雪峰温泉」)は、期待を遥かに上回る究極の温泉施設でした。設計は隈研吾。最近、隈さんの建築はあちこちで見かけるので食傷気味ではありますが、「FIELD SUITE SPA」に関しては申し分ない出来栄えです。キャンプサイトや周辺環境との一体感を重視していることがひと目で分かります、屋内外の天井に配置された1万5千本もの薪がシームレスな空間を生みだしています。すっかり魅了されたのは、温冷交代浴を楽しめるサウナと露天風呂です。内部は撮影禁止なので取材記事(by Casa)から拝借した写真でご想像下さい。主役のサウナ室にはタワーストーブを囲むように階段状の座席が配置され、3枚の大ガラス窓を通して眼下・下田郷の自然と繋がります。恰も小さな円形劇場のようです。ストーブに積み上げられた本場フィンランド製のケルケスストーンは手作りです。サウナーこだわりのポイントが余す処なく反映されていますから、設計に携わったスタッフのセンスの良さを褒めるしかありません。ドライサウナ浴の後はキンキンに冷えた水風呂に浸かって、突き出した庇の下のサウナチェアに腰を下ろします。前列・後列計17席もあるサウナチェアは言うまでもなくスノーピーク製です。ここにあるのは「ととのう」ための究極の環境に他なりません。嬉しいことに、2泊3日温浴入り放題チケットまで販売されていました。サウナーは連泊してとことん「FIELD SUITE SPA」を満喫すべきです。スノーピーク本社キャンプフィールドに限っては、<キャンプ&サウナ>とでも言うべき新たなキャンプスタイルが定着しそうです。滞在中、施設内の2つのレストランを利用しましたが、お値段も手頃でどちらも快適な空間です。<Restaurant雪峰>は座席が限られているので週末や祭日は予約しておいた方がいいでしょう。