消費者を巧みに騙す「ダークパターン」とは?

最近、「ダークパターン」という耳慣れない言葉をよく目にするようになりました。和製英語かと思いきや、イギリスのUX(User Experience)コンサルタントにして認知科学の専門家でもあるハリー・ブリグナル氏が10年以上も前に提唱した概念なのだそうです。

ネットユーザーを騙すために巧妙に仕組まれたユーザー・インターフェイスが「ダークパターン」と呼ばれています。フォースの暗黒面に誘うダース・ベイダーを想起させるような心憎いネーミングです。典型的なパターンを知れば、誰しも、心当たりがあるはずです。

Web上で商品やサービスを購入する際、しばしば「残りわずか」、「〇〇人が現在閲覧中」といった頼んでもいない表示が現れます。正当なマーケティングを装っているかに見えますが、実は、巧みに消費者の購入意欲を刺戟し煽っているのです。よくよく考えてみれば、提供されている在庫情報が正確だという保証はどこにもありません。実際にホテルの空室やレストランの客席が予約サイト上で次々と埋まるのを見て、焦って予約を急いだ経験は一度や二度ではありません。カウントダウン効果はテキメンでサイト主の思う壺に嵌っていたわけです。

国内OTAで圧倒的なシェアを誇る「じゃらんnet」を屡々利用します。「じゃらんnet」を運営するのは株式会社リクルートですから、提供される情報に一定の信頼を置いています。このサイトでも頻繁に「〇人がこの宿をみています」「△時間前に予約されました」といったリアルタイム情報が現れます。大切なことは、こうした情報が「ダークパターン」だと認識した上で、口コミやサイト運営者に対する評判や評価を考慮に入れて商品やサービス購入の可否を判断することです。時間の経過と共に「じゃらんnet」の定性評価が低下する可能性もあります。警戒心を常に持ち続けて臨むことです。

特に注意を要するのはキャンセルポリシーです。かなり早い段階からキャンセル料が発生するレストランが少なくありません。また、ネット予約なのに解約は電話だったりするレストランも散見されます。相手が電話に出なければ、いつまで経っても解約できない訳ですから、詐欺まがいの商法と言うしかありません。肝に銘じておくべきは、売買における法諺”caveat emptor”=「買主よ、注意を怠るな」に尽きるのです。