カーフェリー初体験~伊勢湾フェリーで行くお伊勢参り~

高速道路網が整備された島国・日本において、船旅は決して効率的な移動手段ではありません。北海道や九州など遠隔地であれば飛行機、目的地が本州であれば可能なかぎり自家用車で移動することにしています。そんな訳でこれまでカーフェリーを利用する機会は皆無でした。

今年、全国各地で史上最速の勢いで桜前線が北上するなか、4月中旬に計画していた吉野・千本桜の旅は葉桜となり、急遽目的地を変更して、伊勢湾フェリー伊良湖岬から鳥羽へ向かうことにしました。普段なら東京から新東名・伊勢湾岸道路経由で移動するところですが、地図(上)を確認すると、陸路より航路の方がかなりショートカットできることが分かります。

伊勢湾フェリーの予約(各便10台まで)は電話のみ。2日前の予約でも間に合いました(利用日の3ヵ月前から前日16時まで予約可)。利用者が少ないからかと思いきや、当日の乗船便の搭載スペースは乗用車と観光バス2台で満船状態でした。お天気次第で欠航もありうるので、キャンセル料は一切かかりません。1点、カーフェリーを利用する際の重要な注意点があります。乗船手続きの際、車検証の提示を求められることです。クルマの全長によって航走運賃が変わるので、車検証で確認するのです(いちいち計測するわけにはいきませんからね)。

乗船したのは「知多丸」(2311トン・旅客人員500人)。伊良湖岬に近づいてくる「知多丸」は想像以上に巨大でした。バスだけなら11台、乗用車なら43台が格納できるそうです。受付を済ませると出港時間(11時)の25分前までに車に戻って待機するようにと指示されました。その間はターミナルで潮風に吹かれながら景色を楽しんでいればいいのです。「知多丸」が接岸するとすぐに車両用ハッチが開き、係員の指示に従って順番にクルマを移動し乗船します。中央部に観光バスが収まり、左端前から2番目に停車することになりました。助手席や後部座席に同乗している者がいれば、クルマに乗ったまま乗船します。

鳥羽フェリーターミナルに着くと、進行方向のハッチがすぐに開くので、すぐに下船できました。伊良湖岬~鳥羽間の所要時間は55分、普通車(6m未満)の片道運賃は7600円(運転手ひとりまで)です。ひとりだとコストが少々割高に感じられますが、時間的余裕があってお天気に恵まれるのなら、船旅も悪くない選択肢です。渋滞に巻き込まれる虞もないので、長時間運転に伴うドライバーの疲労軽減が最大のメリットだと言えそうです。