フランスのペットショップ規制を日本も見習うべし

11月18日、仏議会上院が動物の取り扱いに関する法律の改正案を可決、2024年からフランス全土のペットショップで犬や猫の販売が禁止されました。犬や猫を飼いたい人は、ブリーダーから直接購入するか、保護施設から引き取るか、いずれにせよペットショップ以外から譲り受けることになります。背景には、毎年10万匹ものペットが捨てられるという看過し難い状況があったそうです。この思い切った法的規制にはかなり驚かされました。

日本では、2019年に可決成立した改正動物愛護法の下、今年6月から、悪質なブリーダーやペットショップの抑制を図るべく数値規制(飼養管理基準の厳格化)が導入されたばかりです。数値規制に加え、虐待の罰則強化や幼齢犬猫の販売制限(8週齢規制=生後56日を超えるまで販売禁止)も図られましたが、素人目にも実効性には疑問が残ります。今月4日、長野県松本市で計1000匹の犬を飼育していた繁殖業者が虐待容疑で逮捕されましたが、氷山の一角のように思えます。フランスをはじめ欧米諸国に比べると、我が国の規制は動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点からすると極めて生ぬるいと言わざるを得ません。

朝日新聞によれば、日本には100店前後を展開する大規模ペットショップチェーンが10社以上あるそうです。日本国内で飼育されている犬猫の数は1813万匹(2020年|ペットフード協会調べ)に上るそうですから、旺盛な需要に見合った供給体制をこうした大手ペットショップチェーンが整えていることになります。

ペットショップを覗くたび、真っ先に視線が向かうのは窮屈そうなケージに閉じ込められている犬の姿です。最近目にしたのはかなり成長した柴犬でした。かわいい盛りの生後2ヵ月前後で店頭から引き取られていけばいいのでしょうが、長く買い手がつかなければ子犬や子猫はどんどん成長し、商品価値は下がる一方です。売れ残りの犬や猫の多くは<引き取り屋>と呼ばれる業者の手に渡り、先の松本市の悪質業者逮捕事例のように、ネグレクトにより衰弱・死亡という末路が待ち受けていることもあるのです。カップルが抱き上げて「かわいいね」と囁く華やかなペットショップの店頭の背後にあるこうした闇を一掃しないかぎり、アニマルウェルフェアの実現は夢物語です。フランスを見習って日本も同様の規制を導入すべきだと思うのです。

常々、フレンチ・ブルドッグを飼いたいと思っているのですが、家族のコンセンサスを得られないまま数年が経ってしまいました。小型犬の平均寿命は15歳前後、愛情を注ぎ最期まで看取る覚悟のない家庭に犬を飼う資格はありません。代わりに妻からプレゼントされた写真のフレブル親子が今では立派な家族の一員なのです。