日本では何故イケていない高齢者ばかりが目立つのか?~親しい友人ゼロが3割?~

高校時代の同級生A君から久しぶりにメールが届いて、半月ほど放置していたら、連絡が欲しいと催促のメールがありました。今年、ご両親が相次いで亡くなり、ようやく遺産分割協議がまとまった由。一方的な身辺事情ばかりを書き連ねたメールが届くので、ツッコミを入れる術なく毎回苦慮の末、こちらの近況を手短に伝えて済ませます。A君とのメールや会話はキャッチボール型ではなくドッジボール型なので、あまり愉快なものではありません。筆マメ・聞き上手が災いして自分だけがターゲットにされているのかも知れません(笑)。共通の友人S君はそれが嫌でずいぶん前にA君と絶縁してしまいました。幾度かA君に苦言を呈したことがありますが、今のところ、目立った効果は見られません。

日本の中高年男性(中年おじさん)は孤独だとよく言われます。内閣府の最新国際比較調査(日米独瑞)によれば、家族以外に親しい友人がいない高齢者(60歳以上)は全体の3割に上るそうです。4ヵ国中、最も淋しい存在が日本人高齢者なのです。この調査では男女比が明らかにされていませんが、男性に限れば半数近くが該当するのではないでしょうか。

一体全体、その原因はどこにあるのでしょうか。数年前、身寄りのない伯母の相続に絡んで、叔父が連絡を寄越してきたことがあります。疎遠(というよりこちらから積極的に関わりたくなかったので)だったからでしょうか、ほどなく、頼んでもいない手書きの職歴書が自宅に郵送されてきました。そこには定年後の第2・第3の職場における役職が列記されていました。日銀で要職にあった叔父は退職後の職歴を甥に自慢したかったのでしょう。価値観が真逆の外資投資銀行で働いてきた自分には、微塵も訴えることのない無価値の紙切れでした。高齢者が嫌われる最大の理由は、こうした過剰な「承認欲求」にあるような気がしてなりません。

旧友と再会するとよく名刺を求められます。今は「持ち合わせていない」とお断りしますが、第2の職場の名刺はしっかり手渡されます。会社なり組織に帰属していないと安心できない証拠です。隣町に住む職場の先輩Yさんから、名前と住所・電話番号だけ記載した自前の名刺を受け取ったことがありますが、却ってスマートで格好いいと感心したものです。

自らの成功体験をひけらかし頑固で切れやすい高齢者は益々増殖していくのでしょう。口を開けば、自慢話。さもなくば、病気・介護、子供・孫の話に終始されるとなれば、誰だって友だちになりたくありません。年を重ねるにつれ、幸福度が低下するのはどうやら日本特有の現象のようです。