急騰するJ-REIT投資に死角はあるのか(1/2)?

今年も9ヶ月が経過し、日経平均がやっと年初来高値を更新。10/16終値ベースで昨年末比+12.2%の上昇です。といっても去年の通年下落率が-10.45%でしたから、ベンチマークは昨年度の凹みを取り戻したに過ぎません。一方、好調なのはJ-REITです。東証REIT指数(2244.59)は昨年末比+26%も上昇しています。上昇要因には、貸出先が先細る地銀が相対的に利回りの高いREITに資金をシフトさせていることに加え、海外の機関投資家J-REITの高いシャープレシオポートフォリオ収益率/ポートフォリオ収益率の標準偏差)に着目して投資を加速させていることが挙げられます。平たく言うと、J-REITは、機関投資家から価格変動リスクに対する収益率が高いと判断されているというわけです。

東証REIT指数の急騰で、J-REIT全体の平均分配金利回りは3.39%まで低下しています。そろそろ警戒感を強めるべきだという見解が一般的だと思います。今後のリスク要因としては、日銀のJ-REIT買入れによる相場下支え効果がなくなる可能性や東京五輪以降の不動産市況の軟化などが挙げられます。

個人的には、2020年以降もJ-REITについては強気でいいのではと考えています。以前は、国債利回りとの比較でJ-REIT投資の相対的優位性が論じられたものですが、何故か、最近はあまりこうした議論が聞こえてきません。今後も世界的な長期金利の低下は継続する見込みなので、債券投資の機会は先細る一方でしょう。また、自己投資口取得や投資法人相互のM&Aといった動きも出始め、J-REIT市場全体の効率化が進む気配も感じられます。そうした投資環境下、J-REITの絶対的イールド・スプレッドの高さはかつてない魅力となるはずです。