令和元年8月の京都(1)〜嵐山から五山の送り火を鑑賞する〜

保有するリゾート会員権(エクシブ京都八瀬離宮)の8月占有日が、たまたま五山の送り火の16日(金)にあたり、千載一遇のチャンスとばかり勇んで京都へ向かいました。五山の送り火を現地で鑑賞するのは今回が初めてです。大文字焼きなんて、うっかり口走ると京都人に睨まれますから、ご用心あれ。お盆に迎えた先祖の霊を送り出す京都の伝統行事は「五山の送り火」と覚えましょう。

京都は盆地ですから真夏は猛烈に暑いのです。去年の祇園祭観覧席は、直射日光がまともに当たり茹だるような暑さでしたが、山鉾巡行を目の前で見られる高揚感が勝りました。例年、京都の夏は客足が鈍るそうですが、真の京都ファンにとってはどこ吹く風なのです。JR「京の夏の旅」キャンペーンの今年のキャッチフレーズは「暑い京都は、上等だ。」。自分の心情をピタリと言い当ててくれました。

東京からわざわざ遠征して五山の送り火を鑑賞するとなれば、どこから見るべきかが悩みどころです。真っ先に思いつくのは京都市内が一望できる将軍塚青龍殿。例年、西展望台指定席は早めに予約で埋まってしまいますし、大舞台は立ち見ですからかなり早く現地へ行かないといい場所を確保できそうにありません。京都新聞の「京都五山送り火みどころマップ」には、みどころスポット周辺の歩行者専用道路や車両通行禁止エリアが表示されていて、大変便利です。

かといって、宿泊先から近い出町柳あたりで京都を訪れるたびに眺める如意ヶ嶽の大文字だけでは、何かしら物足りません。家内の旧姓鳥居に肖って、思案を重ねた末、最後(20:20)に点火される鳥居形を鑑賞しようと嵐山へ向かいました。鳥居形は、他山と違い、木を組まずに松明を突き立てるため、火色が松ヤニのせいでオレンジに近くなるのだそうです。

渡月橋では嵐山灯籠流しも見られるので一石二鳥、のはずでした。ところが、前日の台風10号通過の影響で大堰川は水嵩が増え、濁流の勢いも強く、灯篭流しは中止になってしまいました。先祖代々の供養のために買い求めた灯篭(一基1000円)は、岸辺で点灯されることに相成りました。

十三まいりで知られる高台の法輪寺に舞台があって、この日は20:00に開放されることを知り、19時過ぎから舞台の手前で待機することに。すでに数十名が列をなしていました。定刻の少し前、檀家さんが社務所からぞろぞろと現れ、次いで、お坊さんが柵を開けてくれました。向かって右手寄りの欄干付近に陣取ると、まもなく、如意ヶ嶽に大文字が浮かび上がりました。タムロン300mm望遠レンズ越しに見ると、字画がキレイに捉えられました。スマホでは流石に大文字は上手く映らないでしょう。

雲間からはお月さまが姿を現し、五山の送り火と夢の競演が実現しました。送り火との月が夜空に映える光景は実にフォトジェニックです。

次に、目を凝らすと妙法の法の上部がかすかに確認できました。20時20分、舞台左手に見える鳥居形に点火されると、勢いよく火が回り短時間で鳥居の形が浮かび上がりました。松ヤニのせいでしょうか、確かにオレンジがかって見えます。20分くらい経って、スマホによる撮影が一段落すると人影もまばらになって、ようやく舞台に静けさが戻りました。渡月橋まで降りて行っても、まだ鳥居形の全容が綺麗に見えました。鳥居形は、かなり長時間、火が消えないで原型を保ってくれるようです。

台風一過、法輪寺舞台から、大文字、妙法の法(の一部)、鳥居形の3つの送り火が眺められて、大満足でした。翌朝、朝日新聞一面に京都府警調べでは約2万8千人が五山の送り火を見守ったとありましたが、人出はもっと多かった印象です。