令和元年8月の京都(2)〜京都迎賓館のガイドツアー〜

京都迎賓館は2度目の訪問になります。数年前は朝一で迎賓館西門前を訪ね、当日の参観希望時間を予約した記憶があります。今回は東京を発つ前にネット予約しておいたので、10:50に西門前に集合するだけで済みました。ガイドツアー方式(参観時間90分・参観料2000円)は、内閣府のHPへアクセスして予約します。個人の場合、定員は各回34名、1日に5回ありますから、旅程が決まっていれば早めに希望の時間を押さえるといいでしょう。HP上のカレンダーには残席が表示されています。

京都へは大抵車で行くので、最寄りの清和院駐車場を利用します(3時間800円)。西門前で受付を済ませると、建物の地下へ移動して手荷物検査を受けます。こちらは保安上の理由から写真撮影は禁止です。夏場は蒸し暑いので、扇子を持参すると便宜です。短いDVDを観てから、1階へ移動して参観開始となります。

京都迎賓館のコンセプトは「庭屋一如」。庭と建物が内外で一体化するように空間が構築されています。特に、庭には四季折々の季節の移ろいを感じられるような様々な工夫が看てとれます。水田の稲穂に見立て、池には常緑のネビキグサ(カヤツリグサ科の多年草)が植えられています。竣工は平成17(2005j年2月、今年は完成から14年目にあたります。

建物は鉄筋コンクリート造りで地下1階、地上1階のみ。京都御苑にあって、周囲を築地塀(ついじべい)で囲み、周辺環境との調和を第一に考えた入母屋造り。正面玄関の扉には樹齢700年の欅に一枚板が使われ、把っ手は七宝で「結び」が意匠にあしらわれています。天井は吉野杉、ゲストのお出迎えにふさわしい日本建築の粋が結集されています。

ガイドさんに引率されて、聚楽の間→夕映の間→藤の間→桐の間へと進みます。館内の調度品等には14種類の伝統工芸が活用されています。藤の間の舞台扉は截金(きりかね)(写真下左手)、人間国宝故江里佐代子さんの作品だそうです。壁面装飾には39種類の草花が織り込まれ、床の段通にも藤の花びらが散りばめられています。藤の花言葉は「歓迎」だそうです。京都迎賓館にこれほどふさわしい花はありません。

迎賓館で異彩を放つにはやはり純和風のま。桐の間の全長12mの漆の一枚仕上げの座卓は実に見事です。座椅子の背に蒔絵で描かれた五七桐は、ひとつひとつ微妙に色彩が異なります。細部にこだわった極みは畳。藺草の穂先を茣蓙中央で繋ぐ「中継ぎ表」という途絶えかけた伝統技法が再現されています。畳中央に見たこともない縦筋が看てとれます。

池に架かる廊橋の船底天井の四隅には、蝶・鈴虫・蜻蛉・蟋蟀の4種類の虫が透かし彫りされています。欄間職人の遊び心に思わずニンマリさせられまた。

ほれぼれするような京都迎賓館の内外装。あっという間のガイドツアーが終わると、淀みのない丁寧なガイドに一斉に拍手が湧き起こりました。雪化粧をしたり秋色染まる迎賓館を、またの機会に訪れてみたいと思います。