新社会人おめでとう!

今日から新年度。清新な空気に満ちるこの季節を迎えると、背筋をピンと伸ばして深呼吸をして、居住まいを正したくなります。様々な職場で別れと出会いが交錯します。去年、新人証券マンとして我が家へセールスに訪れたG君からも11時過ぎに電話があって、名古屋支店へ転勤が決まったことを知りました。去年の新社会人G君は早くも転勤辞令の洗礼を受けて、「もう少し東京で働きたかった」と複雑な心中のようでした。

我が家も次男が新社会人初日を迎え、都内の病院で新米研修医としてスタートを切りました。はなむけに伊集院静さんの『贈る言葉』という本を贈りました。この時期決まって、サントリーが新社会人に向けて新聞掲載する広告10年分をまとめた一冊です。自分が駆け出しの頃は、作家の故山口瞳さんが担当でした。山口瞳さんの心温まるメッセージにはずいぶん鼓舞され助けられたように思います。<悠揚迫らず>という態度は山口さんから教わりました。二十代後半になると新人のメンターを仰せつかり、サントリーの新聞広告の切り抜きを後輩に渡して、社会人の気構えを説いたこともありました。

山口瞳さんの跡を継いだ伊集院静さんの贈る言葉も心にストレートに響きます。<孤独を学べ。孤独を知ることは他人を知ることだ。>という言葉は、新人よりも群れたがるくたびれかかった会社員にこそ玩味して欲しいものです。

新社会人諸君、今日の佳き日、本当におめでとう!

<千載一遇、汗をかこう。誇りと品格を持て。道に迷ったら元の場所に帰るのだ。初心にかえろう。基本にたちかえろう。皆がしてきたことをやるのだ。汗をかこう。懸命に働くのだ。>(『贈る言葉』より)

伊集院静の「贈る言葉」

伊集院静の「贈る言葉」