日本取引所グループCEOのお粗末な言い訳

証券取引所は博打でいえば胴元にあたります。カジノだってインチキな賭博が横行すればやがて客足は途絶えてしまうでしょう。取引所であれば、金融商品全般の迅速安全な取引を担保し、透明性の高い公正なマーケットを保障してこそ、はじめて存在意義が首肯できるというもの。今や株式会社日本取引所グループはかつての東京証券取引所大阪証券取引所経営統合して発足した巨大な胴元、その信頼性を揺るがしかねないCEOによる社内規定違反が最近露見しました。

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大和証券出身の清田瞭CEO(73)が内規に違反して購入したのは所謂インフラファンド、報道によればタカラ・レーベン・インフラ投資法人(9281)を1200口、カナディアン・ソーラー・インフラファンド(9284)300口を過去2年間弱で1億5000万円で購入したそうです。取引が禁止されていない上場投資信託(ETF)と誤解して購入したと知り失笑してしまいました。

そもそもJREITと似た性格を有するインフラファンドは、主として太陽光発電設備を投資対象としその収益を投資家に分配するタイプの投資商品です。インフラファンド市場は2015年4月に東証が開設したばかりの新興市場で、上場しているのはわずか5銘柄、しかも時価総額は合算しても取るに足らない金額です。足元ではタカラレーベン時価総額は150億円、最大手のカナディアン・ソーラーでも224億円に過ぎません。たまたま、同2銘柄に投資しているので分かるのですが、タカラレーベンの場合、平均的な1日の出来高は数百口前後です。そんな市場で内規違反を理由にCEOの保有口すべてを短期間で売却されたら、あっという間に株価は下落してしまいます。こうした顛末こそ、市場を歪める暴挙なのです。

日本取引所グループのCEOが在任中に証券取引すること自体があり得ない話ではないでしょうか。市場関係者のみならず一般人の常識に照らしても不公正極まりない今回のCEOによる証券取引は、取引所の信頼性を著しく失墜させるものに他なりません。ETFとインフラファンドの区別さえつかないCEOに巨大取引所の経営トップが務まるとは到底思えません。元証券マンということですからなおさら驚きです。月額報酬3ヶ月30%減などという手ぬるい処分でお茶の濁す取締役会も同罪です。