異例づくめのLINE上場を振り返る

7月15日の今日、LINE(3938)が東証一部に上場、10:36に4900円の初値をつけました。公募価格3300円に対して初値上昇率は48.5%、この結果を誰が予想できたでしょうか。異例づくめのLINE上場を振り返ってみたいと思います。

まず、LINEには2014年に上場する予定があったにもかかわらず突然上場延期を発表し、市場の期待を裏切った経緯があります。その間、LINEは日本で相当浸透したにもかかわらず、上場には2年弱の月日を要しました。

今年こそすんなり上場かと思いきや、株式市場はLINE上場をめぐって次々と起こった予想外の出来事に翻弄されることになります。以下、列挙してみます。

1)日米上場(国内37%:海外63%)→国内の需給改善にはプラス
2)米国市場上場は1日早く7月14日→初値形成が不調に終わると日本への波及は必至
3)公募価格決定後の価格引き上げ(32万円を33万円に引き上げ)
4)6月24日の英国EU離脱直後からのBB開始→市場環境は最悪の様相
5)LINEの直近決算は赤字(63億円の赤字)→2年前収益強化を掲げ上場延期したのでは・・・?
6)親会社は韓国籍企業NAVER CORPORATION(87.2%保有)→経営実態が不透明

なかでも条件決定後の公募価格の引き上げには驚かされました。米国市場では珍しくありませんが、英国のEU離脱でただでさえ市場のセンチメントが弱気になるなかの超強気の価格設定に、どうしたって投資家は疑心暗鬼になりますよね。当初想定価格2800円でしたからネット上では価格つり上げに悪評が目立ちました。

BBが終わってみると、普段は貧乏個人投資家には見向きもしない主幹事野村證券口座で当選が続出、こりゃだめだと誰しも思いました。実は我が家にもN證券から200株配分が・・・。ほかにも予期せぬ証券会社で当選があって、辞退するという選択肢もあったのですが、やぶれかぶれで特攻をかけることに。唯一の拠り所は、コメダ珈琲上場とは違って、なんと言っても日本では2011年6月開始の目新しいコミュニケーションツールを開発した企業という点でした。

蓋を開けてみれば冒頭に書いたような好発進で公募組は満面の笑顔になったというわけです。以前、第一生命が上場したときも直前に保険金不払いなど悪いニュースが流れ、やきもきさせられましたが、結果オーライのスタートでした。こんな風にマイナス材料だけが目立つケースでも、振り返るとプラス要因(仮条件引き上げの背景)を素直に受け容れる姿勢も必要だったとちょっぴり反省しております。