NASDAQ市場に上場するアップル社の株価は5/10終値で153.26米ドル、今週の週刊エコノミストは特集<アップルと世界経済>と題して高騰するアップル株を取り上げています。年初の株価は116米ドルでしたから直近4カ月で30%以上も上昇したことになります。時価総額が80兆円を超えた世界一の会社アップル社に今なぜ注目が集まるのでしょうか。
どうやら背景には、今秋3年ぶりに全面改良が見込まれる次世代iPhoneのスペックに市場の関心が集まっているようなのです。有機ELの採用にはじまり、touchIDである指紋センサーが埋め込まれホームボタンが消えてディスプレイ上で見え隠れするようになると噂されています。2017年はiPhone10周年の節目の年でもありますから、新機種のスペックは様変わりするかも知れません。
アップル社は世界各地のサプライヤーから部品の提供を受けていますが、iPhone6/6 Plusでは1000点を超える電子部品の約半分を日本のサプライヤーが提供したと伝えられます。次世代iPhone8には初めて有機ELが採用される公算が高いため、これまで液晶ディスプレイを供給してきた大手のジャパンディスプレイ(JDI)の株価は、好調アップルの波に乗れずに低迷しています。2017年3月期で3期連続の赤字という惨憺たる決算でした。以前、公募増資に応募して手痛い目にあった銘柄だけに、未だに活路が拓けない情況には呆れるばかりです。
一方、恩恵を被る村田製作所、ソニー、ロームといった関連株は活況を呈しています。2018年度のiPhone販売台数は前年度の2割増しで2億6000万台を超えるだろうと予想されています。今年はアップル関連銘柄の動向に目が離せません。
バークシャー・ハサウェイ率いる投資の神様バフェットが昨年末からわずか3カ月でアップル株を3倍近くまで買い増し、2017/3末で192億ドル(約2兆1800億)を保有しているという日経記事を読んで些か驚いています。IBM社の株式に見切りをつけて乗り換えたとも伝えられています。果たしてこの巨額の投資は吉と出るのでしょうか。
AGFA(Apple Google Facebook Amazon)の四強が世界を支配する構造は盤石に見えますが、いつか綻びが生じたとき、世界経済は何処へ向かうのでしょうか。