神宮外苑のイチョウ並木はなぜ美しいのか?

東京都の木は1966年にイチョウに決まったのだそうです。候補の木は三種、イチョウソメイヨシノケヤキのなかから、都民の投票でほぼ半数の票を獲得したイチョウが選ばれたというわけです。次点はケヤキ、表参道のケヤキ並木も確かに美しいのですが、聖徳記念絵画館にまっすぐ延びる広い道を挟んで高く聳えるイチョウ並木の凛とした佇まいは実に絵になります。毎年、イチョウが色づき始めると大勢の人が外苑のイチョウ並木を訪れますが、むしろ、週末の早朝や夕暮れ時の人気の少ない時間帯の方が、周囲の環境と溶け込んでその美しさが際立つように思います。

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都内では、明治神宮と並んで年に幾度も訪れたいスポットのひとつです。最近、その美しさの理由を日経新聞の記事で知りました。イチョウの背丈が揃っているのは見てのとおりですが、146本あるイチョウの木すべてが、新宿御苑にあった同じイチョウの木の種(銀杏)から育てたものだからだそうです。イチョウは雌雄異株なので、146本は大層賑やかな兄弟姉妹ということになります。並木通りで銀杏拾いができるのは雌株が7割を占めるからだそうです。

街路樹としては定番の感がありますが、イチョウ科の植物は氷河期に絶滅してしまい、イチョウが唯一現存する種で文字通り生ける化石なのです。レッドリスト絶滅危惧種に指定されているので、貴重なサバイバル種ということになります。外苑のイチョウは、個体差こそあれ背が高いものは28mもあり、なんと樹齢は今年で110歳。もう十分老境の域にあると知って、外苑のイチョウ並木がなんだかとても愛おしく思えてきました。黄葉が見頃を迎えると、神宮外苑いちょう祭が開催されます。久しぶりにハイシーズンのイチョウ並木を見に行きたくなりました。