早咲きの桜<啓翁桜>を活ける

今年は蝋梅や梅の開花が例年より遅いようです。長瀞町観光協会のウェブサイトにアップされた写真(下)を見ると、宝登山の蠟梅園が雪化粧しています。昨年より10日前後、開花が遅かったそうです。2年ぶりに再開した河津桜まつり(静岡県賀茂郡河津町)の開催期間は2月末まで。カンヒザクラオオシマザクラの交雑種・河津桜の見頃はいつ頃になるのでしょうか。祭りのあとにはなりますが、3月上旬、訪れたいと思っています。

我が家の蠟梅は数年前に植えたばかりの若木ですから、ご近所さんの立派な蠟梅と比べるべくもありません。それでも、顔を近づければ甘くフルーティな香りが鼻腔をくすぐります。冬場にあって蝋梅の芳しい香りは数少ない庭の愉しみなのです。

この時期、庭は生彩を欠くのでどうしても殺風景に見えてなりません。代わりに、早咲きの桜のひとつ<啓翁桜>を活けることにしています。十数年前、真冬に妻の友人が大ぶりの枝木を贈って下さったことがきっかけで知った品種(ヒガンザクラの枝変わりとして誕生)です。日本一の出荷量を誇るのは山形県。お正月に桜が楽しめるようにと、生産者が知恵を絞って<桜に春が来た>と思わせるような様々な工夫を凝らしているのだそうです。近所の花屋さんで花芽のついた枝木を見かけるようになるのは2月に入ってからです。信楽の瓶子に枝木を活けておくと数日で開花します。それからまもなくすると鮮やかな緑の若葉が出てきます。自宅でひと足早い春の訪れを楽しみたいのなら、<啓翁桜>にかぎります。