フレデリック・フォーサイスが語るEU離脱の真相


今週号の週刊新潮が英国のEU離脱をめぐるフレデリック・フォーサイスの見解を報じています。大変興味深い内容だったので紹介しておきたいと思います。フォーサイスといえば、1970年代、ドゴール大統領暗殺未遂事件に材をとった『ジャッカルの日』を皮切りに、『オデッサ・ファイル』、『戦争の犬たち』という三部作を上梓して、世界中の読者を虜にした元ロイター特派員ですね。当時、新作を手に取ったら巻措く能わず、気がついたら夜明けだったということが幾度もありました。

フォーサイスは、1930年代、戦争に明け暮れた欧州がその反省を踏まえ巨大な統合国家を築くことを構想した背景に、民主的に選ばれた訳でもないブリュッセル官僚らの権力掌握への野望があったと分析しています。エクスプレス紙にはこんなヘッドラインが踊っています。

Birth of superstate: Frederick Forsyth on how UNELECTED Brussels bureaucrats SEIZED power

EU統合の父といわれるジャン・モネは、1930年代、困窮した民衆はデマゴーグを指導者に選んで戦争になったと考え、来るべき国家連合は優秀なエリート官僚によって統治されるべきだと主張しました。民主主義は危険だと真っ向から主張すると大衆の離反を招くので、経済的メリットを掲げて、民衆に悟られぬよう国家統合に誘導したというわけです。

特権階級或いは貴族階級が政治中枢に収まり権力を掌握するプロセスが、壮大な実験とされたEU統合の実態ではないかということです。とすれば、英国国民の過半がその欺瞞に気づいたということかも知れません。先行きの見えない英国のEU離脱問題、もう少し多角的に考えてみる必要がありますね。