ゲームドライブ@マサイマラ国立保護区

原っぱさながらの飛行場で出迎えてくれたのはケヴィンとサイモン、ロッジに向かう道すがら、初日のゲームドライブがスタートしました。ゲームドライブとは車を使ったサファリのことで、乗り込んだのはお馴染みトヨタランドクルーザー。3日間の滞在中、トヨタランクルはあちこちで目にすることになります。最初に目撃したのは草叢を縫うようにして駆けるイボイノシシでした。ドライバー兼ガイドのサイモンの説明は英語になりますが、イボイノシシだけはイボを省略して<イノシシ>と日本語になるので少々面喰いました。きっと日本人観光客が巧みに教え込んだに違いありません。うりぼうとしては終始親近感を感じた動物のひとつでした。


ゲームドライブという名称は車で移動しながら様々な動物たちを探すところから来ているのでしょう。初めてこの地を訪れる場合、先ずは、BIG5と呼ばれるライオン・ヒョウ・アフリカゾウバッファロー(アフリカ水牛)・クロサイと遭遇するのが目標になります。BIG5のなかで最も印象的だったのはアフリカゾウでした。群れで目にすることが多いのでその集団と出会うとその存在感は圧倒的です。子ゾウを伴った母ゾウに車で近づくと、警戒感を強め、子ゾウを匿おうとします。インパラもそうですが、子連れの群れに遭うと向こうからガン見されているような気がします。不思議と目と目が合うのですね。計4回のゲームドライブを経験したものの、BIG5のなかでヒョウには遭えずじまいでした。逃げ足が速く、無線でドライバー同士が連絡を取り合っても忽ち移動してしまうからだそうです。クロサイは角が工芸品や漢方薬になるので密猟が絶えず絶滅危惧種に指定されていて、1週間滞在しても遭うことが叶わないことが多いのだとか。ベテランガイド、サイモンのお蔭でクロサイと2度遭遇できたのは僥倖だったようです。サイモンは鳥類にも詳しく、哺乳類ウオッチに加え期待していたバードウオッチングも十二分に楽しむことができました。


赤道直下のマサイマラですから、日差しの強い日中はどの動物も活動が鈍ります。そのため、ゲームドライブは早朝6時からと午後15時からの2回(それぞれ3時間超)となります。早朝はロッジのロビーに6時集合ですから、5時に起床して身支度を整え、コーヒーを飲んで出発です。午後からよりも朝の方が動物と遭遇するチャンスが多いように感じました。まだ暗いうちに出発すると、野ウサギが凸凹道を横切ります。東の空に輝く明けの明星の美しさには息を呑みました。やがて東の空が白み始めると、遠くに熱気球が浮かび上がるのが見えます。バルーンサファリと呼ばれるサバンナと動物を鳥瞰できる早朝ツアーで参加費が少々嵩みますが人気のようです。


基本的に車は荒っぽく整地された道路か草原に出来た轍を進みます。丘陵にあるロッジからサバンナに至る道は狭い上に凸凹が激しく、時速10〜20キロで進むのがやっと。身体を絶えず震動が襲うことからアフリカンマッサージと云うのだそうです。サファリ中、車から降りたのはヒポプール(カバが水浴びをする水辺)の1回だけ、原則オフロード走行は禁止、車から出ることも許されません。午後2時過ぎ、ライオン2匹が昼寝しているスポットへ行くと、サイモンは5メートルくらいまで近づいて車のエンジンを停めます。ランクルの天井は開けっ放し、いつ目覚めて襲いかかってくるやもと些か不安が過ぎりましたが、爆睡でした。呼吸する度にお腹が膨れたり凹んだりするのを見遣りながら、その場を後にしました。


帰国してから家内がマサイマラがTVに映っていると云うのでTVのあるダイニングへ駆けつけると、チータがゲームドライブ中のジープの天井に駆け上がっている様子が大写しになっていました。乗客の一部にiPhoneをかざして撮影する輩がいたので動画配信となったのでしょう。結局、人は襲わず立ち去ったようですが、サファリドライブにはこうしたハプニングも付き物だと覚悟しておいた方が良さそうです。