「トラ・トラ・トラ!」の日本公開版初DVD化

KADOKAWA終戦70年特別企画と称して第二次世界大戦映画DVDコレクションの発売を開始しました。創刊号は真珠湾攻撃を描いた不朽の名作「トラ・トラ・トラ!」(1970年9月日本公開)だったので、思わず購入してしまいました。

小学生の頃、師走になると決まってTV放映されたのが「大脱走」や「トラ・トラ・トラ!」でした。当時の刷り込みが強烈だったせいでしょうか、爾来、第二次世界大戦とりわけ太平洋戦争の歴史に一方ならぬ関心を寄せています。

今年は戦後70年の節目の年。日本が何故合衆国相手に勝ち目のない無謀な戦に挑んだのか、あらためて検証してみたいと思っています。「トラ・トラ・トラ!」を10数年ぶりに観て、CGのない時代によくぞこれほど見事に世紀の奇襲戦を再現したものだとひとしきり感心させられました。ルーズベルトが望む世論の支持を得た戦争が、帝国海軍の奇襲で図らずも始まることになりました。しかも在米日本大使館による遅れた最後通牒のせいで騙し討ちというおまけまで付いて、日本に最初の歴然たる行動を敢行(戦争を先に仕掛けさせること)させたいルーズベルトの思惑どおりに事は運んだわけです。このあたりの背景も「トラ・トラ・トラ!」の見どころのひとつです。

この映画は、日本側と米国側でまったく別々に撮影され編集段階で一本の映画にまとめられたのだそうです。こうした事情や零戦が米国軍機を巧みに改造して撮影されたことも初めて知りました。道理で迫力満点なわけです。そして、何より重要なことは、この映画が史実に忠実に制作されているということです。解説本に特別寄稿された保坂正康氏によれば、主要な登場将兵の役割に誇大化したり矮小化したりした点はないそうです。

史実に誠実に向き合って制作されたからこそ、この映画は今も色褪せることなく戦争映画の金字塔たりえているのでしょう。