愛車と濃密につながれる時間

6月20日の日経を読んでいて、「愛車とつながれる時間」と題するエッセイに目が留まりました。セルフスタンドを題材にした自動車ライター下野康史さんの一文でした。

下野さんは「給油口を開けてガソリンを入れるのが、クルマといちばん濃密につながれる時間かもしれない」と述べています。まったく同感です。記憶は定かではありませんが、少し値段が高いなと感じていた近所のお任せエッソからシェルのセルフスタンドに鞍替えしたのは、2009年前後だったと思います。セルフ式が登場したのは1998年だそうですから、10年遅れでセルフに切り替えたことになります。慣れてしまうと、セルフは病みつきになります。

今や、モデルチェンジを繰り返すたびにクルマはハイテク化し、ボンネットを開けても内部はチンプンカンプンというのが素人の偽りない感想ではないでしょうか。クルマは年々歳々ブラックボックス化し、電子制御機能に至ってはもはや素人の手におえない存在になりつつあります。クラッチの操作に四苦八苦した我が教習所時代なんて、今の若者には想像すらできないでしょう。

だからこそ、セルフスタンドで給油する際の愛車との一体感は格別です。愛車との距離感を一気に縮めてくれるのですから、ガソリンの刺激臭を嗅ぎながら、料金メーターが丸い数字になるギリギリまで給油するとき、あたかも愛犬(あいにくペットは我が家にはおりませんが・・・)に餌をやるような感情を抱いてしまうというのも分からないではありません。