師走の久兵衛

12月27日、次男が帰省し久しぶりに家族水入らずのタイミングで銀座久兵衛を訪れました。12月の頭に予約を入れておいたのですが、すでに19時スタートは満席でした。今年最後の営業日だからでしょうか。

この日は17時から2階座敷カウンター奥に陣取りました(家内曰く、椅子席の一階カウンターより落ち着くのだとか)。ほどなく隣に座ったのは、サンフランシスコから東京に着いたついたばかりだというアメリカ人親子でした。キュートなお嬢さんが着席して雰囲気が俄然華やいだようでした。

息子ふたりにとっては久兵衛デビューの日。ビールで喉を潤したあとは、つまみ抜きで一貫ずつ<お任せ>で握ってもらうことにしました。なるべく旬のネタを楽しんで貰おうというわけです。ウニが登場したところで、ほかならぬ久兵衛の先代が軍艦巻を考案したことを伝えましたが、回転寿司ご用達の息子たちに響いたのかどうか。昭和以前の江戸前鮨屋は握れないイクラやウニは扱わなかったという話も・・・・多分馬耳東風か。

家内がしきりに感心していたのはイクラ軍艦巻。大粒なのに実にやわらかいというのです。我が家の食卓には頻繁にイクラ丼(筋子から作ります)が登場しますが、確かに硬め。板前さん曰く、イクラには三層の膜があって、熱湯をかけてから一番外側の膜を洗い出すのだとか。普段口にするイクラ軍艦巻がそんな秘技の産物だったとは、きっと一流のお寿司屋さんは精魂込めて作っていらっしゃるのですね。

円安の影響で久兵衛を訪れる外国人が急増中なのだそうです。1日平均40人くらいが外国人と聞いて吃驚。ブロークンな英語ながら、くだんのアメリカ人にお寿司の召し上がり方を説明し、澱みなく注文を受けていらっしゃいました。投資銀行で働いていた時分、ビジターを一流の鮨屋には決して連れて行きませんでした。繊細なお寿司の味が外国人に分かってたまるか・・・なんて不遜にも思い込んでおりました。しかし、今や、和食はユネスコ無形文化遺産、お寿司の歴史や種類も含めて、世界に向けて発信していかなければいけませんね。

板前さんがアメリカ人男性に"Thank you for your corporation"と云うので、"Thank you for your cooperation"だよと正しておきました。大変感謝されてお礼に分葱の小皿を頂戴しました。

次回はいつになるか分かりませんが、たまには久兵衛でたらふくお鮨を食べたいものです。