ついに「空也餅」を食す

昨日夕刻、予約しておいた「空也餅」を引き取りに並木通りにある店舗を訪れました。「空也もなか」と違って、「空也餅」は通年販売されているわけではありません。例年、11月と1月中旬(2021年は13日から)から2月中旬の2ヵ月間しか販売されないので、「空也もなか」ファンでも「空也餅」を食べたことのない人は多いのではないでしょうか。自分もそのひとりです。期間限定かつ数量限定ですからプレミアム感は半端ありません。

電話予約の際、<賞味期限は製造日当日かぎり>だと教わり、自宅用に一番小さい4個入りセットを購入。お値段は税込1000円(1個250円)でした。時間が経つと皮が固くなってしまうそうです。

帰宅して、早速開封。皮の表面に「空也」と焼き印が押されているので、先ずは銘々皿に載せてしばし眺めることに。大きさは親指と人差し指で作った輪っかくらいでしょうか。何しろ、漱石先生をはじめ名だたる文豪のおやつですから、どことなく風格さえ感じます。米粒の食感の残る薄めの皮にたっぷりつぶし餡が詰め込まれています。思っていたよりも上品な甘さが持ち味で、皮とつぶ餡の食感が絶妙です。

こし餡の苦手な家内は「空也もなか」を買ってきても喜びませんが、「空也餅」は気に入ったようです。京都・一保堂の縁起物『大福茶』との相性も抜群です。香ばしい玄米茶や抹茶のお茶請けにもうってつけではないでしょうか。

○主人はまたやられたと思ひ乍(なが)ら何も云はずに空也餅を頬張つて口をもごもご云はして居る。(『吾輩は猫である』より)

空也堂の菓子は頗(すこぶ)る洒落たものですな。(1900年12月22日付け橋口貢宛書簡)