勢ぞろいした国宝≪八大童子像≫

会期最終日(〜12/7まで)が迫ってきたので、連休前の昨日夕刻、サントリー美術館を訪れ「高野山の名宝展」を見てきました。お目当ては勿論遙々東京までお越しになった≪八大童子像≫。八躯すべてを一度に見られる機会は現地高野山霊宝寺でも稀だということですので、心して拝んで参りました。

この展覧会は、高野山開創1200年を記念した企画展だそうです。高野山は、大阪・難波からでも1時半以上かかる場所にあって海抜は850メートル前後。今は鉄道や自動車道が整備されて便利になっていますが、かつて、参詣者は数十キロの山岳道を行くしかありませんでした。2004年、「紀伊山地の霊場と参詣道」として高野山は、熊野・吉野と共に世界遺産に指定されています。今も残されている参詣道を辿って霊場に向かうのが本来の姿なのです。

八大童子像≫は不動明王坐像を中心にして左右に4体ずつ配置されていました。本来は信仰の対象ですから、真近で拝むことなど出来ないはずですが、第三展示室を広々と使った展示のお蔭で、8躯勢ぞろいした姿を眼前で鑑賞することができました。

11月第一週に落慶したばかりの将軍塚青龍殿(京都)で国宝≪青不動二童子像≫を見てきたばかりだけに、パンフレットの表紙を飾った制多伽童子と合掌姿の矜羯羅童子には特に親しみを感じました。保存状態も素晴らしく、密教修行の場で大切に受け継がれてきたことが分かります。

最後に、≪八大童子像≫に詳しくない方のために、『仏像のひみつ』の著者山本勉さん(11/2に記念講演会をなさっていたのですね)の説明を引用しておきます。

不動明王大日如来の子分だってお話しました。その不動明王にも子分がいます。子分の下にまた子分がいて・・・仏像の世界って、ホントウに不思議です。不動明王の子分で有名なのは八大童子です。<中略>仏像の世界の子分というのは、そんな風に親分の性格をわたしたちに知らせる役目を持っているんです」

仏像のひみつ

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