イル・ド・フランスの魅力

8月最終週からパリへ遊びに出掛けていたために、ブログの更新が儘なりませんでした。以前、仏系投資銀行に勤務していた関係で、年に数度は出張でパリを訪れていたのですが、レポーティングラインの本部機能がロンドンに移って以来、残念なことにパリから足が遠ざかりました。

今回は家族を連れての気軽な観光旅行でしたので、メトロ中心の移動に徹して懐かしのパリの散策を愉しんできました。初日こそ暑かったものの、後半は最高気温も26度前後まで下がって秋の気配を感じました。

旅行中、パリを起点にモン・サン・ミッシェルヴェルサイユを訪れました。モン・サン・ミッシェルへは長距離バスで、ヴェルサイユへはサン・ラザール駅で片道4€の切符を購入して鉄道で移動しました。いずれも世界遺産に指定されていますので、覚悟はしていたものの、夥しい数の観光客で現地はごった返していました。ヴェルサイユではパリミュージアムパスが使えるのですが、後半のパリ美術館巡りに備え手配した2日券の使用を控えたので長蛇の列に並ばざるを得ませんでした。宮殿受付でオーディオガイドを受け取るまで1時間ほど掛かったでしょうか。

今回の旅行でパリ郊外に足を伸ばしたのには理由があります。イル・ド・フランスの住宅スタイルを参考に自宅を建設したので、本場の家並みがじっくり見てみたかったからです。

パリから半径60キロ圏がイル・ド・フランス(「フランスの島」)と呼ばれています。フランス国土の僅か2.5%前後の地域に全人口の20%が暮らしています。イル・ド・フランス圏をセーヌ川をはじめオアーズ・エーヌ・マルヌといった河川が縦横に走るので、居住地域は島と呼ばれるようになったのでしょう。セーヌもケルト語で<曲がりくねった>という意味を有しますから、パリ郊外はこうした河川の恵みのお蔭で作物の収穫が約束され、豊かな沖積層を構成するようになったわけです。

首都圏に匹敵するイル・ド・フランス圏、そこには日本人が見失って久しい文化や伝統が息づいていました。都市景観の美しさには目を見張るものがあります。それに引き替え、我が国はと思わず怨嗟したくもなるというものです。都市計画なき場当たりの開発行為、貧困な日本の住宅事情、既製品さながらのマンション群、統一感のない街並み・・・・

帰国して1週間余り、垣間見たフランス文化の真骨頂について気づいたことをシリーズで書いてみようかと思います。