カントリーリスクに備えた投資ポートフォリオのリバランスとは

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/img/jpy1y.jpg大震災から1ヶ月余り、半ば放置状態に近かった投資ポートフォリオを再検証してみることにしました。東日本全体を襲った未曽有の自然災害に原発事故という人災が重なったので、震災後の投資環境を踏まえたポートフォリオの再構築が必要だと痛切に感じているところです。かつて海外移住という選択肢も検討したことがありますが、転居を目前に控え日本に住み続ける覚悟を決めた以上、カントリーリスクと心中することだけは避けなくてはなりません。

大震災直後の3月15日の日経平均終値は、1987年のブラックマンデーには及ばなかったものの2008年9月のリーマン破綻時の下げを超える水準まで急落、前日比1,015円34銭安の8,605円15銭で引けました。震災1ヶ月後のTOPIX業種別騰落率を見ると、原発リスクの顕在化で電気・ガス業が30%近い下げで断トツの1位、次いで不動産業、空運業、農林水産業が15%前後の下げで続きます。阪神大震災直後、情報通信セクターや卸売小売業が最大でも15%前後の凹みに留まったのに対して、今回の原発事故がライフラインを直撃した上で環境全体に甚大な影響を及ぼしているために投資家のリスク回避姿勢は強まっているのだと思います。リスクの見極めが容易な高格付け債が足元では狙い目かも知れません。一昨日、マネックスを窓口に売り出されたRBS5年6か月円建て債(2.10%)の購入を約定したところ、今日午後には完売になっていました。

これまで内外債券を主体とするディフェンシブなポートフォリオの組成を心掛けてきたつもりですが、昨年秋の公募増資で拾った東電株(僅かですが)を売り損ない些か不愉快な思いも味わいました。ところが震災後の円安の進展で米ドル建てヘッジファンドや豪ドル建債券ポートが相応の為替評価益を生み、国内株式の評価損を相殺するだけではなくプラスの効果を齎してくれています。

リーマン破綻直後には株・債券・為替のトリプル安という予期せぬ事態が急速に進展して胆を冷やしましたが、今回は外貨建資産の保有ポートフォリオの安全弁の役割を果たしてくれました。欧州ソブリンリスクの再燃、米国財政の悪化に伴う米国債格下げ懸念の表面化、我が国の財政破綻リスクなど内外投資環境の先行きは暗澹たる様相を呈しています。島国日本の未来が危ういからこそ、内外金利差に注目しながらポートフォリオを定期的に見直し外貨建債券ポートの拡充に努める時期ではないかと思っています。政府や企業年金も将来の給付に怯えて給付水準を切り下げることばかり考えずに果実を増やす方策を講じるべきでしょう。