第46回衆院総選挙結果に思う

過去、一度たりともパスしたことのなかった国政選挙、今回は直前まで投票所に足を運ぶべきかどうか悩みました。小選挙区は投票したい候補者が見当たらない上に、比例区も第三極が野合に走り存在感を失っていったからです。

国政選挙はともかく、容認し難い一票の格差問題に鈍感な新任最高裁判事に対して有権者として権利行使をしなければと思い直し、昨日午後、投票所に向かいました。

蓋を開ければ、下馬評どおり、開票直後から自公が過半数を制する勢い。民主の自滅で政権復帰することになった自民党は、敵失で選挙に勝利したことを常に反芻しつつ謙虚に政権運営にあたって欲しいと思います。特に、選挙前の党首討論で合意した議員定数の大幅削減を早期に実現して身を切る覚悟を示して欲しいものです。もう一点、領土問題の顕在化でナショナリズムを煽る動きが活発化していますが、国防力強化のための憲法改正には慎重の上にも慎重な対応をと願っています。軍靴の音が忍び寄る気配を感じてならないからです。

TV報道を見るかぎり、東日本大震災の被災地の有権者からは「新政権には期待するしかない」と悲鳴に近い声しか聞こえてきません。社会保障改革と経済対策が全有権者の最大関心事のようですが、やがて震災から2年、これまで些かもスピード感の感じられなかった被災地復興を最優先すべきでしょう。被災地を訪問しても5分足らずで次の訪問地へと向かう代議士たち、呆れ返って言葉もありません。

大震災を契機に我々有権者は行政の無策ぶり(原発の安全性管理等)を改めて知ることになり、心底、政治に絶望したのです。戦後最低水準の投票率59%はそれを端的に物語っています。民主党で三代目の首相となり、不幸にも総選挙惨敗の責任を取らされることになった野田首相には同情の念を禁じ得ません。自民党が長年封印してきた消費増税にとまれ道筋をつけたのですから。そして、国会における安部さんとの党首討論野田総理に軍配をいいでしょう。いみじくも石破幹事長が述べたように、前政権の全部否定はフェアではありません。野田内閣が腐心し前進させた点は、新政権も素直に評価しさらに推し進めていけばいいのです。安部首班指名のあと、ヴィジョンなき政治からまったなしで脱却できるのか、政治家の真価が問われています。