先週末、長年訪れたいと思いながらその機会のなかった屋久島に上陸を果たしました。めざすは、推定樹齢2000年以上とされる縄文杉と九州最高峰・宮之浦岳です。東京の自宅から屋久島町まで直線距離にして約1020km。屋久島空港への直行便は、大阪伊丹空港、福岡空港、鹿児島空港からの3ルートのみです。残念ながら、羽田空港からの直行便はありません。従って、首都圏から向かうのであれば、鹿児島空港で日本エアコミューターの運行するプロペラ機に乗り換えるのが一般的なアクセスです。鹿児島空港から屋久島空港への直行便は1日4~5便。第3便(11:20発)に間に合うように羽田空港発・鹿児島空港行(8:05)のフライトを手配したのは、1月中旬のことです。
出発日の4ヵ月以上前だったにもかかわらず、屋久島空港便の空席は僅少(座席数:48)、登山口へのアクセス良好な安房地区にある宿泊先・屋久島グリーンホテルの3連泊もギリギリセーフといった状況でした。「月に35日雨が降る」とか「1年に366日雨が降る」と言われる屋久島を訪れるなら、誰しも、天候が安定する時期を選びたいはず。2024年版山と高原地図63『屋久島 宮之浦岳』の付録冊子に<5月の連休明けには天候が安定し、まだ涼しい時期で縦走をするのに適しています>とあります。ヤクシマシャクナゲが開花するこの時期に照準を定め、フライトと宿泊先を何とか確保しました。ハイシーズンの屋久島へ旅したいなら、半年以上前から周到に計画を立てて、フライトと宿泊先の手配を済ませておくべきです。フライト手配に際して、留意事項が1点あります。鹿児島空港から屋久島空港へ向かう乗継便に搭乗する場合、進行方向・右側の窓際席を指定しておくと眼下に桜島がよく見えますし、屋久島へ降下する際、上空から「洋上のアルプス」と呼ばれる屋久島の山容を窺うことができます。自分が座った座席・通路左手からは大隅半島や種子島は見えますが、搭乗前に選択可能なら、右手座席がベターです。
鹿児島空港で乗り継いだのは、JALグループ・日本エアコミューターが運行するターボプロップ双発旅客機ATR42-600型。鹿児島空港でいったん羽田空港で預けた荷物を引き取って、再度チエックインする必要があります。乗り継ぎまで1時間以上あったのでラウンジで寛いでいたら、あっという間に搭乗時刻が迫ってきました。保安検査通過後、トイレ休憩していた同行者ふたりが搭乗ゲートに戻ってきません。呼び出しアナウンスが入って狼狽しましたが、ほどなく全員揃って、移動バスに乗り込めました。搭乗口は、機首左側面ではなく尾部左側面にあります。貨物室はコックピットと客室最前部の間に配置されています。最後部13Bに着席したら、CA用のジャンプシートが隣でした。CA1名が小さなギャレーに向かって前向きに座ります。離陸時はそれなりに騒々しい印象でしたが、40分のフライトは快適そのものでした。
平屋造りの簡素な屋久島空港に降り立つと、時折日差しの射すまずまずのお天気。屋久島空港の滑走路は1500m、ジェット旅客機に対応できる2000mへと滑走路を延伸する計画があるそうです。空港近くのタイムズでレンタカーを借りて、空港駐車場へ戻ります。空港に隣接する掘っ立て小屋のような観光案内所で、翌日のシャトルバスのチケット(往復2000円+山岳部環境保全金1000円)を購入し、こちらで登山届2通を提出しておきました。その後、一目散で<ヤクスギランド>へ向かいます。翌日の縄文杉トレッキングに備え、早めにホテルにチエックイン・就寝したいので、長短5つあるコースの中から、つつじ河原・80分コースを選択しました。空港から<ヤクスギランド>までクルマで約50分、翌日の縄文杉へ向かうシャトルバスの停留所は途中の屋久杉自然館前です。80分コースのハイライトは「仏陀杉」。推定樹齢は1800年、樹高と胸高周囲はそれぞれ21.5mに8mもあります。写真(下)のように幹の瘤が仏様の顔に見えてきます。
縄文杉トレッキングを翌日に控え、<ヤクスギランド>つつじ河原・80分コースはちょっとしたリハーサルになりました。沿道にはサクラツツジが咲き、心地よい渓流の音を聞きながらの森林浴で長旅の疲れが一気に吹き飛びました。
ランド線を下ってホテルに向かう途中、ガードレールを伝って移動するヤクザルを発見。本州のニホンザルに比べると小ぶりで、クルマを寄せても一向に逃げる素振りを見せません。観光客が危害を与えないことを知っているのか、人への警戒心が薄いようです。