九州遠征登山(前篇) | 阿蘇五岳(中岳・高岳)

5月8日〜10日限定で発売されたJALプロモーションチケットを手配し、1年ぶりに九州を訪れました。前回は大分空港に降りて由布岳やくじゅう連山に向かいましたが、今回は熊本空港から阿蘇五岳と祖母山をめざしました。

空路でアプローチとなれば少々天候が不調でもそう簡単に登山を断念するわけにはいきません。幸い、当日が近づくにつれ天気予報が上向きになり、搭乗機が着陸態勢に入り瀬戸内上空に差し掛かった頃、写真のように上空から島嶼部がはっきりと確認できました。

空港からレンタカーで一路、阿蘇山中岳火口に向かいました。草千里ヶ浜を通過し、阿蘇山公園道路(有料)手前の入場ゲートで800円を支払う際、喘息、気管支疾患、心臓疾患等がないか口頭で尋ねられます。

火口駐車場から見学エリアに移動します。地元気象台が随時発表する噴火警戒レベルが1でなければ、火口見学は叶いません。レベル2以上になると、中岳に通じる登山コースすべてが通行禁止になってしまいます。噴火警戒レベルは頻繁に見直されるので、遠方から火口をめざす場合は現地情報をこまめにチェックしタイミングを見計らう必要があります。

火口周辺はガスが立ち込め視界不良でしたので、砂千里ルートの登山口まで引き返し車を駐めて登山を開始しました。砂千里ヶ浜の荒涼たる佇まいは、映画『猿の惑星』のロケ地・パウエル湖周辺を彷彿させます。強風のせいで体感温度は10度前後。下着の上に4枚重ね着して、吹きっ曝しのなか南岳から火口壁に沿って進みます。視界不良で火口が姿を見せてくれません。上りで背中を追った青年が南岳の岩陰で休んでいたので声を掛けると、これから引き返すところだと云います。東京から遥々やって来たのでここで撤退するわけにはいきません。風でキャップを飛ばされないように注意しながら、中岳を経由し、正午少し前に阿蘇五岳最高峰・高岳山頂(1592m)にたどり着きました。

カップ麺を食べながらランチ休憩している間に、あら不思議、ガスが消え風も収まってきました。展望が一気に拓けてきたので、ここぞとばかり写真を撮りまくります。高岳東峰からはフランス人カップルが早足で近づいてきました。仙酔峡登山口からアプローチしてきた男性登山者と言葉を交わすと、新宿にお住まいで奇遇にも社員寮が三鷹で長年三鷹住まいだったとか。正午を過ぎたあたりから続々と登山者が増えてきました。下山中に何組もの外国人登山者を見かけました。写真(下)はイスラエルからやって来たというファミリーです。コロナ禍が終息しいち早く国外へ向かう外国人旅行者のバイタリティは大いに見習うべきです。

登山口に戻って再び火口を訪れると、勢いよく噴煙が立ち昇る様子がはっきりと見て取れました。ガス濃度は黄色の2ppm以上、亜硫酸ガス(二酸化硫黄)が絶えず鼻腔を刺激します。世界の活火山の約1割弱は日本にあると言われます。モンゴルの遊牧民が使うパオ(モンゴル語ではゲル)に似た形状のシェルター(退避壕)が立ち並ぶ様子は、火山活動が盛んな阿蘇山を象徴する景色なのです。