意外に品薄な紙の地図|『山と高原地図』

山と高原地図』は、昭文社ホールディングズ(東証一部上場:コード9475)が発行する登山者・ハイカー向け地図のことです。縮尺は1:50,000、全61タイトルあります。1965年の刊行開始から今年で55年目、『山と高原地図』は半世紀以上の歴史を有する定番地図なのです。最近では、地図アプリをダウンロードしておけばスマホで簡単に閲覧できるので、紙の地図の需要は低下する一方ではないでしょうか。5年前、国土地理院が発行する紙の地図の販売数が最盛期の81年度(約910万枚)の20分の1になったと報じられました。2017年2月には地図の大手取次業者(日本地図共販)が倒産、更に実需は減っていることでしょう。

今月中旬、北アルプスへ出掛けるので、穂高岳周辺をカバーする『山と高原地図』(2021年版)を購入しておこうと思い、大手啓文堂書店のネット書店や丸善ジュンク堂のネットストアをあたったみたのですが、売り切れで在庫ゼロ。楽天市場も然り。実店舗ならひょっとしてと思い、最寄りのジュンク堂吉祥寺店に電話をしてみるとやはり在庫ゼロ。他店舗に2部あることは分かったものの、取り寄せはコスト倒れするので已むなく断念しました。

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2021年度38『山と高原地図』(槍ヶ岳穂高岳)は今年2月に発売されたばかり。全61タイトル(エリア)のなかでも人気度一・二位を争うエリアとはいえ、意外な品薄に虚を突かれた格好です。需要が減っているので販売部数を絞っているのかも知れません。結局、新宿の紀伊国屋書店に在庫があることが分かり、何とか一部(税込1100円)手に入れることができました。スマホはバッテリー切れリスクを伴います。従って、紙媒体の地図はこれからも登山必須アイテムであり続けるはずです。耐水性紙を使用し「ニス引き加工」が施された『山と高原地図』は、一覧性があり悪天候にも強いので、本当に頼りになる存在です。デジタル地図に押され、今や絶滅危惧種に仲間入りした感のある紙媒体の地図ではありますが、登山前に自宅で拡げ、紙触りを愉しみながら悦に入るのがマイ・ルーティンです。

2021年版には登山アプリ「山と高原地図ホーダイ」(サブスク版で月額利用料400円・税込)が1年間無料で利用できる購入者限定特典が付いていました。「ヤマレコ」や「YAMAP」に比べ、標高ごとのグラデーションやテキスト情報が充実しており、最も見やすいアプリのようです。