史上最速の梅雨明けとなった今年6月27日、大菩薩嶺(山梨県甲州市)をめざして登山中でした。稜線上に出たところに大菩薩峠・介山荘があります。雑談を交わしていた気さくな介山荘・主人から「ラジオが梅雨明けだと言ってるよ」と伝えられました。道理で抜けるような青空が広がっているわけです。望外の好天にすっかり気を良くして、下山後はほったらかし温泉にまで足を延ばして、上機嫌で帰宅しました。翌日、東京の気温を確認すると、最高・最低気温は35.1度・24.1度でした。
気象庁は防災の日の9月1日、夏の天候のまとめを発表し、梅雨明けの確定値を明らかにしました。驚く勿れ、速報ベースでは6月終わりだった関東甲信などの梅雨明けは、青枠で囲んだとおり、7月下旬に修正されています。
確かに、6月28日から7月2日までは太平洋高気圧の勢力が強まり、晴天が続きました。内陸部では40℃を超えるような記録的な暑さに見舞われたタイミングです。連日、メディアが各地の猛暑を報じていました。
ところが、高気圧の勢力は長く続かず、7月3日以降は雨の降る日が増加。特に7月中旬は戻り梅雨のような日が続きました。ようやく7月下旬になって再び高気圧が本州付近まで張り出して、晴れる日が増え、梅雨明けの確定値となった7月23日頃からは概ね夏空に変わったということです。
これほどの大幅修正は1997年以降初めてだそうです。例年、7月20日前後が梅雨明けだと認識していますが、今年も収まるところに収まったわけです。気象庁異常気象情報センターの楳田貴郁所長は偏西風の南下などを見抜けなかったと認め「力不足。予測技術が十分ではないと痛感した」と釈明しています。天気予報の精度にいまひとつ得心がいかない理由のひとつがはっきりしました。