谷川岳・盛夏日帰り登山の悲喜交々〜2020年8月9日&10日〜

山の日を含む三連休の中日、家族を伴って谷川岳に向かいました。前夜、知人との会食があったので、3時間睡眠を挟んで4:30に東京を出発し、ロープウェイ始発30分前に谷川岳ベースプラザ駐車場2Fに車を滑り込ませました。途中、高速出口の水上ICに近づくにつれどんよりとした厚い雨雲が垂れ込め、嫌な予感は見事に的中し、登山開始時に雨が降り出しました。登山に不慣れな家族は早々に撤退宣言、ソロで山頂を目指すことになりました。写真(下)の中央右寄りにネコの耳にように見えるのが、目指す山頂なるトマの耳(左手)とオキの耳(右手)になります。

いつも心掛けている早めの入山に悪天候が重なって、渋滞・混雑からは解放されました。視界も思ったほど酷くはなくて、登山道左手の美しい山並みをしっかり目に焼きつけながら進みました。熊穴沢避難小屋を過ぎると俄かに岩場が増えて、俄然、高山をアタックしている気分に浸れます。雨脚は次第に弱まり、双耳峰の最高点1977mオキの耳登頂を果たすと、待ち構えていたように晴れ間が拡がりはじめ、雨具をザックに格納できました。植生は実に多彩かつ豊かでクマザサの草原が目に優しく、ニッコウキスゲシモツケソウ、ノアザミなどが咲き乱れ、いかにも高山植物の宝庫でした。

少し悔やまれるのは、家族を天神平(冬季はスキー場になります)で待たせているという負い目もあって、オキの耳から20分先の「ノゾキ」まで行くのを断念したこと。次回こそ「ノゾキ」から切り立つ岩壁一ノ倉沢を俯瞰しなければ!もうひとつの後悔は、谷川岳を取り巻く山々の方位や名前がうろ覚えだったこと。それなりに学習してやって来たつもりでしたが、殆ど役に立ちませんでした。周辺の山名を記したメモをポケットに忍ばせておけば良かった、なれど、後悔先に立たず。

下山し始めると、天候の回復に背中を押された登山客が数珠つなぎで登ってきて、渋滞が始まっていました。絶好のコンディションではなかった出発時の天候が却って幸いしたようです。気温も10時過ぎまでさほど上昇しなかったので、雨具さえ脱いでしまえば、快適な山行の部類だったと思います。

翌10日はロープウェイが故障したために、かなりの登山客が片道7分のところ1時間かけて自力下山したのだそうです。運営者谷川岳ロープウェーのHPを覗くと〈ロープウェイ保安回路作動により運転見合わせ〉とありますが、原因がはっきりしません。折しも、下山者は激しい雷雨に見舞われたのだとか。ロープウェイ復旧後も予備電源に頼るため片道運行に40分かかったのだそうです。天候急変は山の常としても、思わぬロープウェイの故障が重なっては、不運を嘆くしかありません。当初、7月後半に予定していた谷川岳山行は長梅雨のせいでやむなく順延、梅雨明け後も天候は不安定で現地で恨み節のひとつも出そうになりましたが、顧みれば首尾は上々でした。

コロナ禍の影響で、フィズィカルディスタンス確保のためチケっト売り場は普段より行列が長くなる上、ロープウェイは定員22名を密閉回避の観点から10名前後に間引いて運行しています。ハイシーズンを迎え、炎天下の渋滞登山はストレスの元になりかねません。日日是好日といいますから、副次的なメリットのある少し登山に不向きな日和を敢えて選んで臨むのもありではないでしょうか。