このところ下のグラフが示すように爆発的に新型コロナウイルスの陽性者が増えていますが、一向に行動制限を課す動きが見られません。重症化率と致死率の低さが政府を強きにさせているようですが、飲食店を狙い撃ちにしたこれまでの行動制限に照らせば、目下の政府対応は著しく一貫性を欠くように映ります。近い将来、行動制限とコロナ感染拡大阻止の因果関係は徹底的に検証されるべきだろうと思っています。
時短営業から通常営業に戻って、飲食業界全体に明るい兆しが見えてきても良さそうですが、大手外食産業の決算見通しは総じて芳しくありません。数少ない例外は日本マクドナルドです。8月10日に2022年6月中間連結決算を発表した日本マクドナルドの営業利益は前年同期比+1.5%増の174億円と過去最高益を更新しています。近所のロードサイド店のドライブスルーはいつ通りかかっても賑わっています。宅配も含め事業は絶好調、巣ごもり需要を巧みに取り込んでいます。
一方、「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは、ウィズコロナに伴う生活習慣の変化や物価上昇を背景に、2022年12月期は11億円の赤字を計上する見通しです。社長も辞任するそうです。ピーク時493店(2019年)あった店舗数は近年の大幅退店によって足元215店舗前後まで減少しています。凄まじい規模のダウンサイジングです。これに伴い200人の希望退職者を募り183人が応募したそうです。不採算店舗の削減はファミレス大手のロイヤルHDや天丼のてんやも実施しています。
先週末、ファミレス最大手のすかいらーくHDが2022年12月期の業績予想を大幅に下方修正し、同時に100店舗の閉店を発表しました。当期純益は40億円の黒字から20億円の赤字に転落する見通しです。ここまで経営が苦しいとは予想外でした。かなりの金額にのぼる時短協力金を追加計上しても原材料費の高騰や減損損失を吸収できなかったわけです。2022年6月末で3085店を数えるレストラン部門は2023年には3000店を切ることになります。四半期決算を読むと、インフレに起因するコスト高が経営を圧迫していることが分かります。直近の定性分析にはこう書かれています。
客層別:ファミリー層の戻りが弱い反面、男性シニア客は19年比で100%超えが目立つ
時間帯別:ランチに比較してディナーの回復が遅い
地域別:ガソリン価格高騰に伴い、自動車でも移動が多い地方が低調
業種別:専門店ブランドが引き続き好調(むさしの森珈琲・魚屋路・La Ohana)
今週末、<むさしの森珈琲>(以前はジョナサンでした)で遅い朝食を食べたばかりだったので、業態多角化が進んでいるすかいらーくHDの大苦戦は余計に意外でした。この日は、写真のようなドリンク付きのモーニングDセットを注文し、新聞を読んだりiPadでブログ記事を書いたりしながら2時間弱、寛いで過ごしました。嬉しいことにマグカップにたっぷり注がれたお替わりのアメリカンコーヒーは200円で提供されます。通路を挟んで左隣りのワンピの女性はMacBook Airと向き合ってずっとお仕事をしているように見えました。内装はシックでひとり用のカウンターもあって、コンセプト通り、ゆったりと寛げる「癒しの空間」となっています。
9時40分過ぎに入店し、お昼近くに支払いを済ませ待合室へ移動すると大勢の客で混み合っていました。現在65店舗まで拡大した<むさしの森珈琲>は売り上げ・客単価共に健闘しているようです。ガストやバーミヤンのようなファミレスは苦手ですが、郊外型カフェの<むさしの森珈琲>なら週末、自然と足が向かいます。もう少し頻繁に通って売り上げに貢献しようと思っています。外食は安くて品質がいいに越したことはありませんが、ワンコイン生活ばかり追求すると、近所から贔屓の飲食店が一斉に消えてしまうことにもなりかねません。今や、ラーメン一杯が1000円の時代です。消費者も飲食業界全体の苦境を理解し、一定の価格転嫁を従容として受け入れる覚悟を持つべきではないでしょうか。