先週末、本格的な登山シーズン到来前にトレーニング登山を重ねておこうと、奥多摩十座のひとつ、鷹ノ巣山(1736.6m)・日帰り登山を敢行しました。ホリデー快速おくたま1号でJR奥多摩駅まで移動、バスを乗り継ぎ、奥多摩湖から<水根沢林道>経由、山頂をめざしました。心配したお天気も、午前中は晴れ間もあって山頂付近で小雨に降られた程度で済みました。残念だったのは、ガスのせいで明るく開けた鷹ノ巣山の山頂展望(南面からは南アルプス・大菩薩峠・富士山など)がお預けになったこと。危険箇所こそありませんが、標高差1200mは伊達ではありません。奥多摩の山々のなかでは体力を相当消耗する部類だと思います。
鷹ノ巣山は<石尾根縦走路>のほぼ中間に位置するため、幾つもサブルートが存在します。登山開始から数時間を過ぎたあたりで下山者数名とすれ違いました。残念なことに、日原を象徴する稲村岩を望む<稲村岩尾根>経由のメインルートは2年前から通行止めになっています。奥多摩ビジターセンターHPの事前確認を怠っていたら、現地で通行止めを知る羽目になっていたことでしょう。<水根沢林道>の迂回路についても注意喚起があったので、登山前の情報収集の大切さを再認識した次第です。
危険箇所がないと先に書きましたが、上りと下りでそれぞれ1回、道迷いしかけヒヤッとさせられました。上りの<水根沢林道>は淵や瀬が連なり、周囲の景色が混然一体となって、歩いている地点の区別がつきにくくなります。登山開始から1時間半経った頃、倒木が目立つ枯れ沢を横切り右手へと5分ほど進んだところで、踏み痕の残る【登山道もどき】が途切れていることに気づきました。右手の沢に苔むしたか細い丸太橋が見えるのですが、とても渡れるような代物ではありません。振り返って元来た道を戻ろうとしましたが、斜面が邪魔して視界が効きません。直前まで記憶にあった景色は何処へやら。しばし斜面で立ち止まっていたら、少し先に登山者のキャップが見えたので、気を取り直して斜面をトラバース、枯れ沢に戻ることができました(写真下が分岐点になります。左が正しい方向です)。もう一度立ち止まってじっくり周囲を眺めてみると、左手方向に枝に巻かれた小さなピンクリボンが見えます。名づけて、倒木トラップ!そんな箇所に出喰わしたら注意を怠らないことです。移動距離にして50m前後だったにせよ、おかしいと感じたときに元来た道に容易に復帰できないのが「道迷い」なのだと悟りました。ロスタイムは20分前後でしょうか、精神的に相当堪えるトラブルでした。
下りの「道迷い」は急遽ルート変更したことが直接的な原因です。<浅間屋根>経由で峰谷へ下りるはずでしたが、山頂滞在を早めに切り上げたので、JR奥多摩駅に通じる<石尾根縦走路>を下ることにしました。バス便が1日3本しかない峰谷バス停で1時間以上帰りのバスを待つくらいならと思ったわけです。地図で確認すると、<六ツ石山分岐>で六ツ石山方向に進めばJR奥多摩駅に通じています。過ちは、<三ノ木戸(さぬきど)山分岐>で<三ノ木戸林道>へ下ったことでした。薄暗い杉木立の間を縫うように細い道が続きます。本来は蛇行すべき・直進してはいけない箇所で直進したら、【登山道もどき】が途絶え急斜面で立ち往生する羽目に。上りと違ってすぐに本線復帰できましたが、10分くらいのロスタイムでも心理的ダメージは大きいものです。追い打ちをかけるように厄難が降りかかります。<三ノ木戸山分岐>で真っすぐ絹笠方向へ縦走路を進めば3時間前後で下山できたところ、更に1時間を費やすことになったのです。ようやく舗装道路に出たと思ったら、そこから1時間余り、距離にして4.5kmの無味乾燥な道路が待ち受けていました。こうなると恨み節も吐きたくなるというものです。あと付けしたような<三ノ木戸林道を経て奥多摩駅>という手書きの標識は巧妙な罠としか思えません。。
週末とはいえ山頂の体感温度は5℃前後。手袋が必要なくらい寒かったので山頂にいた登山者はわずか5名でした。下りに至っては追随する登山者は誰もいなかったはずです。カレンダーを見るとこの日の六曜は先勝、占いどおり、午後は凶と出たわけです。帰宅して、YAMA HACK(2021-7-9更新)の掲載記事を発見して吃驚仰天。奥多摩の道迷い多発コースに鷹ノ巣山が取り上げられているではありませんか。<「沢を経由する部分」は登山道を見落としやすい>、自分も実際に経験したばかりの鷹ノ巣山の教訓です。