2022年2月登り初めは周回登山|塔ノ岳~丹沢山~鍋割山

旗日の2月23日は、同級生とその連れひとりを伴って高尾山へ。この日が初登山のふたりからガイド役を仰せつかりました。景信山まで進んで往復するつもりでしたが、陽の当たらない登山道が随所でアイスバーンになっていて、ふたりだけでなく自分も何度か転倒したため、これ以上は危険と判断して小仏城山を過ぎた下りで撤退を決断。チェーンスパイクや軽アイゼンを持参しなかった自分の状況判断の甘さを猛省した一日でした。初心者のふたりには本当に申し訳ないことをしました。

そんなわけで今週末が事実上2022年の登り初め、めざすは東丹沢の主峰「塔ノ岳」。神奈川県在住の同級生山ガールMさんがしきりにいい山だと数年来薦めてくれるので、思い切って足を延ばすことにしました。早朝5時に自宅を出発し東名高速経由「秦野中井IC」アウト、1時間30分足らずで現地(秦野ビジターセンター)に到着しました。都内からの交通アクセスは高速・一般道共に良好で、もっと早くにこのことに気づくべきでした。勝手に行きづらい場所だと思い込んでいたので後悔頻りです。

「塔ノ岳」の標高は1491mと決して高くはありません。ところが、人気の「大倉屋根コース(Okura Ridge)」の標高差は1200mもあって、富士山の五合目から九合目に匹敵します。登山道はよく整備されていて危険箇所こそありませんが、かなりタフなコース(上りのコースタイム:3時間40分)です。登山開始から30分も経たないうちにフリースを脱ぐ羽目になりました。見晴茶屋を過ぎればいよいよ急登です。特に駒止茶屋手前の階段地獄では太腿を普段から鍛えていないと体力を根こそぎ奪われそうです。

左から南アルプス中央部の農鳥岳(のうとりだけ)、間ノ岳(あいのだけ)、北岳となります。

週2~3回のジム通いが奏功してか、余力を残してコースタイム-30分で山頂に到着。ピーカン(死語??)の下、南アルプス八ヶ岳を望む360度パノラマは圧巻でした。富士山に向かい合うように西側に設置された階段状の展望デッキが気に入りました。ハイシーズンはきっと満員の円形劇場観客席のようになるのでしょう。特徴的な丸太形山頂標識の裏側には温度計が付いていて、外気温を確認するとマイナス3℃前後。じっとしていたら身体が一気に冷え込んできました。再びフリースを着込み、次の頂きに備えチェーンスパイクを装着しました。お湯を沸かしてココアを飲んで身体を温め、早めのランチとばかりカップ麺を平らげました。

残雪期なら山頂から富士山が見える確率が高いですし水分補給も最低限で済むので、我ながら、2月最終週の丹沢山系は狙い目だったと思いました。

山頂にある尊仏山荘の西を通り過ぎると百名山丹沢山」(注)へ通じる登山道に出ます。ここからは残雪が深いため軽アイゼンなど冬装備はマストです。「丹沢山」山頂はすっぽり雪に包まれていて、眺望にやや欠けるという評判がまったく気になりませんでした。みやま山荘があるのでここでお手洗いを済ませました。抜けるような青空と雪山のコントラストは本当に絵になります。「塔ノ岳」・「丹沢山」を往復する間、ザクザクと雪を踏みしめる音や感触を存分に楽しみました。

再び「塔ノ岳」山頂へ戻り、金冷しを右へ折れ「鍋割山」をめざして鍋割山稜を進みました。時間に余裕があると思い込んで、当日、組み込んだ周回ルートになります。15:00近くなって富士山も雲に隠れ、眺望は期待ほどではありません。名物鍋焼きうどんを提供するはずの鍋割山荘も営業終了・・・。お手洗いだけ拝借して、あとは2時間足らずで下山という腹づもりでした。豈図らんや、秦野ビジターセンター至近の24時間営業駐車場に戻ったのは18:00寸前。明け方、満車だった駐車場に残っていたのはわずか数台。帰宅後、改めて昭文社の『山と高原地図「丹沢」』を確認すると、当該下山ルートの所要時間は予想外の2時間50分でした。四十八瀬川に沿って延々と続く西山林道があまりに単調すぎてラスト30分はかなりへこたれました。ようやく林道を抜けて民家に出てからも大倉バス停までの道が不案内で迷いかけました。急遽、周回登山にしたせいでこの日の総歩数は48437歩・・・記憶にないくらいとんでもない距離を歩く1日になりました。

(注)深田久弥は<百名山のひとつに「丹沢山」を取り上げたのは個々の峰ではなく、全体としての立派さからである(『日本百名山 新装版』)>と述べています。「丹沢山」は丹沢山塊中の一峰であるに過ぎないので、東西約40km・南北約20kmに及ぶ広大な山地を踏破してこその百名山丹沢山」なのです。