新年はシュトラウスを聴きたい

新年早々、ウィンナワルツを聴きに東京オペラシティコンサートホールへ。本場ウィーンでは、毎年元日に楽友協会大ホールでウィーンフィルニューイヤーコンサートが催されます。世界100カ国へ衛星中継されるくらいですから、自分も含めて、世界中のファンがこの日を楽しみにしているのです。いつの日か、チケットを入手して現地で聴けたらと思うのですが、生きているうちに叶うかどうか。

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東京でも元日から3日連続でサントリーホールにおいてウィーン・フォルクスオーパ交響楽団によるニューイヤーコンサート2019が開催され、9日はウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラが東京オペラシティコンサートホールに登場ですから、日本でもウィーンのフィルハーモニーによるニューイヤーコンサートは風物詩として定着してきたのではないでしょうか。もちろん、こうした演奏会はウィーンフィルニューイヤーコンサートの世界的知名度から派生したものであるには違いありませんが、なんと言ってもシュトラウスファミリーの楽曲全般が明るく軽快で、新年を迎えたばかりの人々の気持ちを華やぎに満ちたものにしてくれるからではないでしょうか。前半の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は運動会に流れる誰もが知っている定番曲、インターミッション(下はCD販売の様子)を挟んで、後半最初に演奏された「春の声」(ヨハン・シュトラウス二世)は、いつ聴いても心を浮き立たせてくれます。

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シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラの名物指揮者はペーター・グート。年齢不詳ですが80歳近いのではないでしょうか。ヴァイオリニストでもありますから、弓を片手に指揮する場面も印象的です。楽団員には高齢の方も目立ち、円熟の演奏に期待が昂まります。オペレッタの王様「こうもり」でスタートした演奏会は、ギャロップポルカあり、皇帝円舞曲ありの実に愉快なプログラムでした。ソリストはソプラノのアネッテ・リーピナとバリトンの平野和(ひらのやすし)。本場ウィーンを拠点に活躍する平野さんの日本人離れした声量と容姿に、会場からは万雷の拍手が送られていました。

音楽に合わせて、オペラの名場面では、スロヴァキア国立劇場バレー団から男女二人のダンサーが登場し流麗なパフォーマンスを披露してくれました。ニューイヤーコンサートの真骨頂はフィルとバレーパフォーマンスのコラボに尽きます。あっという間の2時間が過ぎて、最終曲は「美しき青きドナウ」。続いてアンコールは「百発百中」「颯爽と」とポルカ・シュネルが2曲続き、定番「ラデツキー行進曲」がフィナーレを飾りました。アンコールの間は手拍子ありポルカの軽快なリズムに合わせたハンドパフォーマンスありと、客席を巻き込んだ舞台演出に観客は大歓びでした。壇上には蝶ネクタイ姿の男の子と女の子が招き寄せられ、中編成のオーケストラを指揮するという楽しい余興つきでした。その間、ソリストと指揮者は客席をめぐり、歓声に応えてくれました。