昨年秋、新潟から上京した学生時代の旧友と神楽坂で飲み交わしたのがきっかけで、久しぶりに同窓会を開こうということになりました。組織的な同窓会は苦手だけれど少人数の同窓会なら大歓迎です。
風薫る5月、同級生5人がホテルに集まりこじんまりとした同窓会を開催しました。幹事役を買ってでたものの、同級生の通信環境がまちまちで少々連絡をつけるのに苦労しましたが、なんとか再会の宴に漕ぎつけました。
サプライズはしばらく音信が途絶えていた神奈川県に住むO君から奥様を帯同したいという申し出があったこと。理由を尋ねれば、事実婚の奥様が学生時代のO君の様子を聞きたいというではありませんか。少しでもO君の印象をアップさせようと思いついたのは、大学卒業10年の節目に有志で作った記念文集を贈呈すること。巻頭を飾ったのは、O君の「ひとむかし」と題する中原中也に自分を重ねた掌編小説でした。
今では女房子供持ち
思えば遠く来たもんだ
此の先まだまだ何時までか
生きてゆくのであろうけど・・・
瑞々しい感性溢れるO君の秀作を読んで奥様はどう思ったのでしょうか。懐かしくそして愉しい3時間はあっという間に過ぎて、旧友はそれぞれ家路を急ぐことに。
当日渡しそびれたお祝いの品「開運木鈴こだま」を今年還暦を迎えるふたりに郵送したのは昨日のこと。同窓会直前に明治神宮を参拝して授かってきた品で、ご神木(楠や欅)で作られているのでひとつとして同じものがありません。奇しくも、明治神宮社殿が再建されたのは1958年、還暦を迎えるふたりと同じ60年間、風雪に耐えて今日があります。O君の奥様は代々木生まれの代々木育ち、神宮の杜の取り持つ不思議な縁(えにし)を感じた旧友との再会でした。