アニヴァーサリー・ディナー@ガストロノミー ジョエル・ロブション

先週土曜日、妻の記念すべきバースデーをガストロノミージョエル・ロブションでお祝いしました。企画はもちろん夫である自分でしたが、ふたりの息子が都合をつけてくれるかどうかが心配でした。特に、4月に研修医になったばかりの次男は超多忙。ところが、定刻19:00に奇蹟的に4人が揃って、エレガントな<グラン・メゾン>でコースディナーのスタートとなった次第です。あらかじめドレスコードがあると脅したせいでしょうか、息子ふたりが当日着用する服や靴まで写メで送って寄越し是非を訊ねるので、苦笑してしまいました。建物は少々年季が入り、外装はリノベーションした方がと思いましたが、日没後ライトアップされた光景はなかなか絵になります。

2ヶ月前から予約を入れていたからでしょうか、北側センター、窓際の落ち着いたスクエアテーブル席を用意して頂けました。妻と私はソファを背にして着席することに。メニューは前菜2、メイン1、デザートの定番を選択。パン、フロマージュ、デセール、ミニャルディーズと4つのワゴンがついてきますから、メインX2はさすがに無理だと判断しました。

数日前から頭を悩ましていたのはアペリティフとワインの選択。2018年はロゼ・シャンパン誕生からちょうど200年の年。創始者であるヴーヴ・クリコ(ロブションのハウスシャンパンでマグナムボトルからのサーブでした))に敬意を表して、ヴーヴ・クリコのロゼで乾杯まではすんなりと決まったのですが、赤ワインは悩みに悩み、結局、当たり年2010年のマルゴーのボトルを注文することにしました。ソムリエさんがタブレットPCを持参してストックを淡々と説明されたのが少し残念、ゲストの希望や予算も聞き入れた上でソムリエの熱いひと押しが欲しかった。

家族4人がそれぞれほぼ違うメニューを注文して、ロブションの芸術作品のような料理を目で楽しむことに徹しました。なかでもメニューには記載されていない特別の2皿は感動的でした。写真はキャビアを使ったスペシャリテでしばらく手をつけるのさえ憚られました(もう一皿はレジェンドのマッシュポテトでした)。この日は、記念日で訪れたと思しきゲストが目立ちました。"Félicitations"と書かれたイチゴ付きチョコレートプレートがテーブルに置かれていれば、お祝いの席だとひと目で分かります。あらかじめ記念日だとお店に申し出ておくときっと用意して下さいます。ロブションで定期的にお食事される方も大勢いらっしゃいますが、ガストロノミーは特別な日にこそふさわしいのではないでしょうか。ロブションでは写真撮影はNGではありません。個人的にはすべてのお料理を写メするのは如何なものかと常々苦々しく思っていますが、ロブションのように臨席と少し距離のある場合は例外的に許されてもいいでしょう。


メインはイベリコ豚の肩の希少部位を使ったイベリコ・プルマを注文。妻はクエを。メインは素材の好き嫌いも手伝って、当たり外れがあるようです。フロマージュはコンテを中心にドライフルーツ(フィグとラズベリー)を添えて頂きました。デザートとミニャルディーズも少しづつ取り分けて頂き、数種類づつ試してみました。こちらは文句のつけようがありません。息子ふたりが盛んにパンをお代わりしていましたが、ロブションのパンは発酵バターを添えると本当に美味しくて、帰りにお土産に頂戴した甘い香りのするパンもあっという間に食べてしまいました。

ハーブティーでしめて気がつけば23時を回っていました。4時間を超える晩餐会は近年記憶にありません。普段は料理のクオリティやコスパに厳しい妻も、この日は満足したのか神妙で内心ホッとしました。2008年からミシュラン三ツ星を堅持するガストロノミー ジョエル・ロブション、次回は秋のランチタイムに訪れたいと思います。

N.B. 2018年からロブションは働き方改革の一環でしょうか、平日のランチ営業を廃止しました。そのせいで土祝日のランチはもちろん、ディナーも早めに予約した方がいいでしょう。