秋晴れの男体山(二荒山)日帰り登山

雨天の燧ケ岳登頂から丁度1ヵ月、かねてから奥日光の紅葉に彩られた男体山に登ろうと10月下旬の週末を待ちわびていました。今度ばかりは雨天は勘弁と念じていたら、当日、ほぼ快晴のなか登山口を出発することができました。数日前、天気予報が曇時々雨に変わってハラハラさせられはしましたが、二連敗は免れました。

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男体山の登山口は、下野國一之宮日光二荒山神社中宮祠境内にあります。782年(延暦元年)に二荒山登頂に成功した勝道上人が山頂に奥宮を建立、2年後にその麓に中宮祠を建てたそうです。本殿の右手奥鳥居の脇に<二荒山奥宮登拝口>と書かれた立派な石柱が立っています。

第2いろは坂渋滞を回避するため、東京を4時に出発、6時過ぎには登山者専用駐車場に車を滑り込ませることができました。国道120号線の電柱を見上げるとそこには二匹のニホンザルがお出迎え。紅葉のピークを迎えた中禅寺湖畔、神社の駐車場には次々と登山者の車がやってきます。社務所で住所氏名を記帳し500円の入山料を支払うと、案内図とともに<日光二荒山神社登拝交通御守護>と書かれた御守りを授かりました。関東屈指の霊峰と謳われる男体山ならではのしきたりに自然身が引き締まり、居住まいを正しました。

気温6度前後にもかかわらず、3合目までは急登であっという間に汗が噴き出し、パーカーを脱ぐ羽目に。3~4合目舗装されたは工事用道路を進みます。4合目の鳥居を過ぎると随所で、木立越しに朝陽を浴びて湖面に靄がゆらいで見える中禅寺湖を眺めることができます。八丁出島が美しく紅葉する光景は実に絵になります。この間、山道には手すりがあって泥濘そうな箇所には土嚢が積まれており、整備された印象です。

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6合目あたりから全身を使って登ることを強いられるガレ場が出現、俗に「観音薙」と呼ばれる山体崩壊の痕跡です。男体山にはこのように薙刀で抉ったような形状から「薙(なぎ)」と名がついた浸食谷が大小20余りも存在します。火山である男体山は噴火に伴う溶岩や火山灰が堆積して崩れやすい特徴を有しており、中禅寺湖側から男体山を臨めば、幾筋もの「薙」が山頂から四方に拡がっているのが一目瞭然です。胸突き八丁は8合目まで続きます。

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8合目まで来ると<八合目瀧尾神社>と書かれた石碑があって、近くの大きな岩の窪みに小さなお社も祀ってあります。ここを過ぎれば、地面が露出して、ところどころ土嚢で土留めした山道をひたすら前進することになります。やや単調ではありますが、体力的には楽できる箇所です。9合目を過ぎると日陰に積雪箇所があり、やがて森林限界を越えると赤土の表土が剥き出しになり、斜面は雪で覆われていました。明智平から確認できた山頂付近の白いものはやはり積雪でした。山頂手前で急に晴れ間が拡がり、中禅寺湖や戦場ヶ原が一望できました。それもつかの間、霧が湖畔は深い霧に包まれ、頂上付近は一面雪景色、気温は4度まで急降下。

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山頂の祠の脇には<日光二荒山神社奥宮>の石柱が立っていて、登山者は二礼二拍手一拝。ほぼコースタイムで登頂できました。山の高さを<合>で示した嚆矢は富士山、男体山も同様に山岳信仰の対象だからこそ、合目の石柱が目印として設置されたのでしょう。石柱を目にすると、登頂までの達成度が凡そ分かるので、登山者のモチベーション維持に繋がります。必ずしも均等に高さを区切っているわけではないので、5合目は半分ではないことはご承知のとおりです。

山頂では1時間半あまり、ランチ休憩。神剣と一等三角点が設置された奥宮右手奥では新潟からいらしたA夫妻の写真撮影を手伝い、登山談議で盛り上がりました。翌日は白根山に挑むA夫妻、紅葉のハイシーズンだけに連日登山を試みる登山者が多いように感じました。

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帰路はひたすら下ることに専念。男体山の上りはアップダウンがないため文字どおり直登、林道を除けばトラバースもなし、振り返れば誠にまっすぐな山でした。下山完了後、社務所中宮祠と奥宮の二種類の御朱印を頂戴しました。お天気はやや不安定で山頂では初冬の趣でしたが、下山してみれば晴れ晴れとした気持ちが込み上げ、心地よい達成感に浸れました。締めは登山の疲れを癒すべく、湯元温泉郷に移動したのでした。

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