掛け時計の修理で知った職人気質

掛け時計が故障したので、いつもお世話になっている吉祥寺の時計屋さんに修理を依頼しました。今回で2度目の修理になります。修理のために壁から外してみると、ふだんからさりげなく見ていた時計だったことに改めて気づかされました。いざ修理で不在となると不便なものです。

「1か月弱お預かりさせて頂きます」と店主がいうので安心してお預けしました。ところが約束の修理完了予定日になっても、掛け時計は戻りません。店主曰く、長針と短針の根元の部分がとても薄く出来ていてゼンマイの動力が上手く伝わらないのだそうです。代わりになるような針を探してみるのでしばらく時間が欲しいと・・・


写真のような古木仕上げのイタリア製アンティーク時計ですから、似たような針を探すのは難しいはず。苦戦中の店主には申し訳ないと思いつつ、修理不能も半ば覚悟して銀座和光を覗いてみました。残念ながら我が家の壁にふさわしい掛け時計は見当たりませんでした。ところが1週間後、なんとか直せましたと嬉しい連絡がありまして、掛け時計は1か月ぶりに我が家に戻ったというわけです。

使い捨ての時代にこうした時計屋さんの存在は本当に有難いものです。修理して下さったのは、十字屋時計店さん(R吉祥寺駅北口徒歩2分)です。店主への感謝の思いを伝えようと記事を書いているさなか、朝日新聞に似たような経験をされた岩田富美夫さんという方の投稿が掲載されていました。
両親から譲り受けた時計を1年かけて修理してくれた町の時計店さんの話でした。同じ思いなので引用しておしまいにします。

「もうけにはつながらないのに、修理を請け負った以上はその仕事を全うするという店主の、職人としての責任感と執念に頭が下がった。その矜持と心意気に、改めてほれ直した。」(2017年2月19日付け朝日新聞朝刊より)