GW後半、体調を崩して若冲展を観に行けなかっため、土曜日の昨日トライすることに。開館1時間前に都美に到着したにもかかわらず既に長蛇の列、数千人が並んでいるではありませんか。都美の入口から蛇行しながら延々と列が続き、最後尾は旧東京音楽学校奏楽堂あたりでした。前代未聞の光景でした。係員が掲げていたプラカードには<160分待ち>とあり、その間にも次々と最後尾が延伸していきます。唖然とするばかりでした。2009年11月、東博の「皇室の名宝展」第2期で「動植綵絵」全30幅を観たときの混雑を遥かに凌ぐ人気ぶりです。
早々に若冲展を諦め、国立西洋美術館のカラヴァッジョ展鑑賞へ方針転換(若冲展図録3000円也はゲット、15日の今日はそれも完売したのだとか)、お蔭でこちらの方はゆったりとした時間を過ごせました。常設展の松方コレクションも久しぶりに堪能できました。それにしても、主催者側は数時間来館者を屋外で待たせることに些かの躊躇はないのでしょうか。そもそも、体力のない高齢者や若年者、遠隔地からはるばる駆けつけた人達はこの行列に加わる気力も体力もないでしょう。来る18日のシルバーディ(65歳以上無料)には事故が起きるかも知れません。日傘を貸与したり給水所を設けても、所詮弥縫策に過ぎません。未曾有のこの大混乱の主因は、明らかに会期が1ヶ月と短いこと、チケットのキャッチフレーズは<ひと月限りの、この世の楽園>、主催者はあらかじめこうした混乱を予測することは出来たはずなのです。おまけに、NHKの「日曜美術館」や「美の巨人」もこぞって若冲展を取り上げたので、集客を煽った格好です。
常々思うのですが、美術展の成功は来館者の多寡で決めるものではありません。集客に快適な鑑賞空間を提供してこその成功です。貴重な文化財の場合、法令上、年間公開日数が制限されていますから、文化財保護の見地から会期が限られるのは致し方ありません。しかし、限られた会期にできるだけ大勢の来館者に見せたいという主催者側の意向と、快適な鑑賞空間(時間)を確保したいという要請は常に二律背反します。この背反事象に上手く折り合いをつけてこその展覧会の成功というものです。
今回の若冲狂騒曲は会期最終日の24日までまだまだ続きそうです。自分も二度目の鑑賞が叶うかどうか・・・可能性は日増しに細るばかりです。メディアへの混雑状況の周知徹底と収拾策としての会期の延長を切に望みます。