郵政3社上場に寄せて〜国債依存型バランスシートの行方〜

昨日、久しぶりに駅売りの日経ヴェリタス(550円也・・・高っ)を買いました。8日からBBが始まった郵政3社の上場関連記事を読むためです。ゆうちょ銀行とかんぽのBB期間は正味6日しかないので、先週、すでに取引のある幹事証券には上限価格で体力に見合った申し込みをしたところです。

「国策に売りなし」という相場格言を信じるほどおひとよしではありませんが、主幹事の野村や三菱UFJMの担当者と話をするかぎり、ブックビルドは至って好調なようです。仮条件レンジも穏やかな水準(各社とも想定価格+30円)に落ち着き、ひとまず安心できそうです。PBRでは、同業他社比、ゆうちょ銀行(0.47%)に割安感があります。また、かんぽは5%を上回る配当(正確には3.17%前後)が期待できると誤って報じられたこともあり、まとまった配分は厳しそうです。広く購入希望者を募るという政府の意向も手伝って、主幹事三菱あたりでは新規に口座を開設して郵政3社を買う顧客も多いのだとか。

死角は見当たらないとまでは申しませんが、真夏は散々だった地合いも改善しつつあり、11月の上場は無難なスタートになるのではないかと予想します。初値が公募価格を5〜10%程度上回ってくれれば、上々ではないでしょうか。

やはり気になるのは、将来の成長性。ゆうちょ銀行の付利預入限度額は1000万、比較的安全と云われる住宅ローン等の運用にも制約が付されています。メガバンク民業圧迫だと叫んで、ゆうちょの新規参入に真っ向から反対する姿勢を堅持しています。一方、かんぽは利益率の高いがん保険も未だ取り扱っておらず、人口減少に伴う国内市場の縮小という逆風に現時点では有効な対抗策を持ち合わせていません。

一番気がかりなのは、バランスシートの過半を占める国債保有残高。当分続くであろう大規模金融緩和下で、どうやって収益機会を拡大していくのか!?GSやGPIFから運用のプロをリクルートしたようですが、役員構成を見ると、旧郵政省出身者が目立ち、官主導の印象は拭えません。
先ずは徹底的に組織の体質改善を図ることが、成長への第一歩かも知れません。

最近、事務品質をめぐって取引銀行である三菱東京UFJ銀行相手に大変不愉快な思いをしただけに、ゆうちょ銀行には期待するところ大なのであります。