空き家問題を考える(Part2)

祝日の12日に、無事、買主と土地売買契約の締結を済ませました。やれやれです。しかし、まだ安心はできません。万一、買主に住宅ローンがつかないと、契約は白紙に戻るからです。不動産仲介業者曰く、買主には親からの援助がある上共働きだとか。公務員ではないそうですが、地方では安心して良さそうな買い手ではないでしょうか。ローン条項の期限は11月9日、首尾よく発動されなければ、いよいよ実家解体に着手という段取りになります。

解体費用は土地売却代金の10%超程度、買い手がみつからないまま解体すると、土地(従来は住宅用地)への課税標準額はいきなり評価額の16.7%から70%に跳ね上がります(200平方メートル以下の場合)。12日付の朝日新聞に「売れない、貸せない、税金ばかりかかる。親には申し訳ないが、三重苦のありがた迷惑な遺産でした」とこぼす横須賀在住の男性の話が掲載されていましたが、東京も含めた都市部に散見される空き家も決してこの例外ではありません。「空き家対策特別措置法」施行に伴い、相続放棄物件に対する代執行が行われたりと、行政側も対策に乗り出したようです。

実家周辺では、戦後の住宅不足を背景に建設された大規模な県営アパート住宅(16棟392戸)の過半が空き家と化し、取り壊しも侭ならないで放置されています。低所得者向けの住宅のようですが、外壁修繕すらなされていません。一帯の景観を損ね、地価の下落を牽引している原因のひとつです。コンクリート建物解体の予算措置さえ講じられないまま、岐阜県は旧耐震の築50年を超える建物をいつまで放置する気でしょうか、事業主体の行政側も実は空き家問題の共犯というわけです。

ちなみに、岐阜市内における土地の公示価格は30年前と比べて60%下落しています。両親が他界してすぐに売却に踏み切っていれば、回収額は1000万近く増えた計算になります。今後の地方の地盤沈下と人口減少を考慮すると、相続世代は、さらに20〜30%の地価下落を覚悟しておくべきしょう。逆に、地方に住んでいながら土地を持たない若い世代には、良質な住宅用地を安く手に入れるチャンス到来です。

総務省統計局の<住宅数と世帯数>という2008年度調査統計を見ると、総住宅数5759万戸に対して、世帯数は4997万戸と大幅な供給超になっています。2013年の空き家宋総は820万戸といいますから、もはや看過できる状況ではありません。売ろうにも売れず荒れ放題の空き家が激増していることになります。

さらに我が家のように相続事由発生後、10年以上経過すると、相続人の一部が行方知らずになったり他界(代襲相続の発生)したりして、相続人間で円満かつ円滑に遺産分割手続きを履行することが一層難しくなります。

人口減少と高齢化がもたらす空き家問題は、21世紀最大の社会問題になりつつあります。なかでも、さらなる地価下落がもたらす税収減少(市町村における固定資産税収の占める割合は45%前後と極めて高いのです)は、2007年3月に財政再建団体に指定された夕張市の予備軍を増やすことに繋がりかねません。木っ端役人では手に負えないこの難題をどう解決していくのか、住民も真剣に地域の未予想来図作りに関わっていかないととんでもないことになるかも知れません。興味のある方は、吉祥寺に住む三浦展氏の著作もご一読下さい。