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電力株安定配当時代の終焉に思う

昨日、政府の電力需給検証委員会が公表した電力9社(沖縄電力を除く)の2012年度純損失額は1兆7千億円余り、電力各社の債務超過は回避できたものの大変厳しい数字です。9社合計の純資産額は4.8兆円ですから、向こう3年間こうした状態が続けば、電力会社の経営は確実に破綻します。

損失額が膨らんだのは、原発停止の影響で燃料費が膨らんだからです。東日本大震災前と比較すると3.2兆円の増加だそうです。原発依存の高い電力会社ほど業績が圧迫されることになります。安全性の検証を蔑にして原子力発電の効率性を優先してきた電力各社には皮肉な結果です。

公益企業としての電力会社の経営が危ない、だからといって原発再稼働に素直に賛成するわけにはいきません。政府の安全宣言など毛頭信じるわけにはいかないからです。電力料金の値上げという匕首を利用者につきつけて原発再稼働を迫る電力会社や政府の遣り口を到底納得できるものではありません。現に、今回の発表で来夏は原発を稼働させなくても5.4%の電力余剰が生まれる見通しが明らかになりました。

節電も定着してきたことですし、会社も家庭も最悪大震災直後の計画停電を覚悟して一層の節電に取り組めばいいと思います。

これまで電力株と云えば資産株の代表格と看做され、安定した株価推移と高配当(3〜5%)が魅力でした。昔は退職金で電力株を買った方も多いと思います。しかし、東電以外の電力各社も軒並み2013年3月期に無配転落しそうな勢いです。原発依存の最も高い関電の株価は、年初来高値1445円の1/3程度まで下落しています。利用者に負担増を強いるのであれば無配は当然の措置でしょう。電力株はもはや投資対象として何の魅力もありません。株式上場もある意味でコストです。この際、国有化も視野に入れて電力業界の立て直しを図るべきではないでしょうか。

今朝の朝日新聞紙面では、論客の小熊英二氏が「ネズミの群れと滅びる恐竜」と題して、日本社会の縮図ともいえる従来の権益層の在り方に対して手厳しい批判を展開しています。一部を紹介しておきます。

<バブル期以前に人格形成し、古い人脈やノウハウにしがみつく人々が、なぜか力を持っている。つかみどころのない新動向に対応できず、縮んでいく一方の旧部門ばかりを重視する。その状態を維持するめに負債がかさみ、次代を育成する余裕もなく、全体が沈んでいく。閉塞感が高まるのは無理はない>

大震災と原発事故を契機に、日本社会の隅々まで巣食っていた宿痾の実相を正視しなければならない時代になりました。ここで抜本的な外科的治療を施さないかぎり、この国の未来はかぎりなく暗いと言わざるを得ません。

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