2024年「春彼岸」|変わりゆく青山霊園の眺望

3月20日は<春分の日>。令和6年(2024年)の彼岸の入りは17日、20日がちょうどお中日(ちゅうにち)に当たります。今年は少し出遅れて、10時過ぎに両親の墓所がある青山霊園・北中央入口に着くと、駐車場待ちの車列が出来ていました。

手提げの水桶を持ってそれぞれの墓所へ向かう家族連れを見ると、妙に心が浮き立ちます。仏教の世界では、お彼岸は「極楽浄土に想いをはせ、善行を積むべき大切な時期」とされます。一方、現代は3人に1人がお墓参りの習慣のない時代だと言われます。葬儀やお通夜といったセレモニーは簡略化され、お墓参り離れが進んでいます。そんなご時世だからこそ、こうして欠かさずお墓参りをする人々を見ると、心が洗われる気がします。

お墓の掃除をし周囲の雑草を抜いてから、榊を供え、墓前で手を合わせます。周囲から線香の香りが漂ってきました。造花で済ませる方を見掛けますが、生花が供えられ洗い清められたお墓を見ると、清々しい気分になります。水汲み場の近くで真新しいお墓を見つけました。ガラスにギリシア文字が刻まれています。墓じまいをする人が増える一方、青山霊園ではこうした意匠を凝らしたお墓を拵える人がいます。東日本大震災の直後に苦労して改葬した経験があるだけに、心の拠り所をお墓に求める人たちに親近感を抱いてしまいます。

お墓参りを済ませ、東京タワーの方角に目を遣ると、見えるはずの東京タワーが建設中のビルに遮られて視界に入りません。写真(上)は、青山陸橋から撮影したものです。現時点で日本一の高さ(330m)を誇る麻布台ヒルズが、わずかに高さで上回る東京タワー(333m)をボリュームで圧倒している様子がよく分かります。来年、六本木ヒルズの北側・六本木五丁目西地区で大規模な再開発工事がスタートし、2030年竣工予定だそうです。港区のオアシス・青山霊園を取り巻く景色は刻々変化しています。2030年に向けて、東京大改造が進行中なのです。