気になるEVの売れ行き〜懸念材料は陳腐化リスクか?〜

米電気自動車(EV)メーカーのテスラが4月26日発表した2021年1~3月期決算は売上高が前年同期比74%増の103億8900万ドル(約1兆1200億円)、最終利益は4億3800万ドル(前年同期は1600万ドル)でした。中国での販売が好調だったと伝えられています。

2020年に販売されたEVとプラグインハイブリッド車(PV)の合計は300万台超え、前年比+41%だそうです。新型コロナウイルス感染拡大で新車販売の不振が続くなか、EV+PVの好調な売れ行きは驚異的です。2050年に域内温室効果ガス(greenhouse gas)の排出量実質0を目指すEUがEVへの補助金拡充に動き、欧州が中国を抜いて最大の買い手(総計140万台)になりました。

日本はどうだったかと言えば、25%減の2万9千台。ニッチ市場を牽引してきたのは2010年に市場投入された日産リーフ(EV)。リーフSグレードのメーカー希望小売価格は332万円、国から42万円、都民であればさらに東京都から30万円の補助金が支給されます。エコカー減税も考慮すれば、巷間指摘される高価格がボトルネックだとも思えません。

だとすれば、EV購入を躊躇させる要因はどこにあるのでしょうか。難点とされてきた航続距離の問題もかなり改善されてきています。写真上の日産リーフe+(62kwh)の場合、WLTCモードで458km、エアコンをオンにしたとしても400kmは走れるのではないでしょうか。ここまでくれば充電スピードと航続距離の問題も許容レベルです。

つまるところ、陳腐化リスクが最大の要因ではないかと推測しています。近年、自動車は機械から電子機器に変貌したと言って過言ではありません。日進月歩のテクノロジーの進化によって、年単位で、リチウムイオン電池をはじめバッテリー性能が向上する可能性は大です。補助金のお陰で安く買えたとしても、日本では4年間の継続保有が義務づけられますから、その間に購入した車の価値(下取り価格)が大きく下落する虞が高そうです。イノベーター理論に従えば、目新しさだけではなく具体的なメリットを考慮するアーリーアダプター(自分もそのひとり)をまだ取り込めていないことになります。普及率16%の壁はまだまだ厚そうです。