クロ現+「車上生活 社会の片隅で‥・」を見て

11月19日のクロ現が増大する車上生活者の実態を取り上げました。車上生活者の根城になっているのが「道の駅」だそうです。24時間無料開放されている上、トイレや給水設備が整っているのが大きな理由でしょう。関東圏の「道の駅」の3割超で車上生活者が認められるといいます。

職を失った元トラック運転手の男性(66歳)は、賃貸住宅暮らしを続けると月10万円の年金収入では、家賃など生活費を支払うと4万円の赤字になると零します。車上生活は残された唯一の選択肢だったのです。車上生活を始めて1年、後部座席で寝起きする日々の暮らしは見るからに大変そうです。年金入金日の午前零時に、コンビニATMで生活費を下ろして、ガソリンスタンドまで1時間歩いて5ℓのガソリンをタンクで持ち帰る姿は見るに忍びない光景でした。

20代の男性が車上生活を余儀なくされるようになったのは、派遣社員生活に限界を感じたからだといいます。両親の離婚や祖父の虐待など複雑な家庭事情も、若くして社会の片隅へ追いやられることになった理由でした。

こうした車上生活者を支援するNPOのスタッフは、車上生活者が増加する要因のひとつとして、日本が冷たい社会になってきたこと挙げていました。ホームレスと車上生活者とをひと括りにできないのは、後者が社会から疎外され続けてきた結果、社会との交わりを拒むようになったからです。

東京で暮らしていると近所付き合いは皆無ですし、学校や職場などコアとなる帰属共同体を離れた途端に、社会との接点が消失することを肌身で実感します。家族はしたがって最小の共同体にして最後の砦。先の66才元トラック運転手の場合、最愛の妻に先立たれ、お子さんがいなかったため、寄る辺なき存在になってしまいました。病気などで職を失い、頼れる家族もいないとなると、地域社会の支援がなければ命を繋ぐことがきわめて難しい時代になりました。いつでも、誰にも起こりうる社会からの隔絶、つくづく生き辛い世の中になったものだと感じます。