おみくじの優劣

今上天皇のご退位のスケジュールも固まったので、平成もあと2年で終焉です。昭和から平成へと時代が移ろうなかで、お年始参りや年賀状の遣り取りといった年始の風習が急速に廃れようとしています。そんな趨勢にあって、寺社参拝のあと1年の運勢を占うべくおみくじを引く習わしだけは、今もしっかりと受け継がれています。

初出勤後、会社の同僚や部下と愛宕神社を参拝していた当時、各自おみくじを引いて、吉凶に一喜一憂した記憶は今も鮮明です。プライベートでも同じようにおみくじの結果は気になるものです。幸い、今年は氏神様で「大吉」、深大寺でも「吉」でしたので、幸先のいいスタートを切れた気分にひたれました。


このおみくじを考案したのは、元三大師(がんざんだいし)や角大師の名で親しまれている延暦寺第18代座主の良源です。平安時代におみくじの原型が考案され、鎌倉時代には神籤として庶民に普及していったと伝えられています。その元三大師(右写真は三千院の角大師の護符)はおみくじについて次のように説いておられます。

「後世の複雑な社会に処して行く人々の困難を救うために、観音様から戴いた処方箋があります。これを自分の像の前に置き信心をこめて吉凶を占えばその願いに応じて招福を知らしめるであろう」

おみくじには吉凶の順序があって、大吉から大凶まで寺社仏閣によって種類はまちまちです。悩ましいのは吉凶の優劣。自分の理解では次のような順番になります。

<大吉>→<吉>→<中吉>→<小吉>→<末吉>→<凶>→<大凶>

このほかにも<半吉>というおみくじも存在するので混乱しますね。どうやら、寺社仏閣ごとに優劣は異なるようなのです。東京の浅草寺成田山新勝寺などでは上記の序列が大勢である一方、京都の平安神宮では<大吉>以下、<中吉><小吉><吉>という順番になります。おみくじの結果が気になる方は、お参りした寺社に確かめてみることをお勧めします。

「申酉騒ぐ」といいますから今年も波乱に満ちた1年になりそうです。そんなわけで14日土曜日は明治神宮にもお参りに行ってきました。写真は参道に設置されていた氷の彫刻のひとつです。こちらはおみくじに吉凶はありません。「大御心(おおみごころ)」と呼ばれるおみくじには、祭神である明治天皇昭憲皇太后の御製30首が書かれています。外国人観光客向けに20首の英文おみくじも用意されているので、こちらも好評を博しているようです。